ワタシの何があの人を黙らせるのか
"原因"はわかっても
最後まで"理由"は分からなかった。
"理由"が分からないワタシが
あの人を黙らせるのだと分かった。

あの人が沈黙を選ぶたびに
なぜワタシと一緒にいるために
あの人に無理させなくちゃいけないんだろう
困らせたくなんかないし
重荷にはなりたくないのにって
何度も何度も思いました。

それでも自ら縁を切る覚悟も
突き放される覚悟も持てなくなっていって。
このままじゃ大切な人を
大切に出来ない人間になってしまうと
頭では分かっているのに
もうワタシが離れたら
それで終わってしまうんだろうなってことも
分かっていたし
所詮その程度の縁なんだろうと
分かっていた。

ワタシが既に終わった時間を
無理矢理引き延ばしてるだけなんだろうという思いがあの人が沈黙を選ぶたびに重なっていきました。

あの人はいつでも沈黙で
ワタシに先を選ばせた。

ワタシから離れたいのがあの人の望みなら
それでいいという思いは
失くさないようにしてきたつもりです。

話すことが得意じゃないことは知ってた。
だから沈黙に隠れているあの人の心を
知りたいと確かめたいと思っていた。
その度に呪いのような言葉を聞いてきた。

ただ時に何も言わずに抱き締めてくれる事に
ワタシは縋っていただけだったと
今になれば分かる。
本当はあの時も分かっていたのだと思う。
分かっていたんだ。

沈黙の訳は分かっていた。
ワタシに話すことなどないんだって
分かっていた。

だから最後には
いる/いらないで答える価値しかないと
思われていたのだろうと。
少なくともワタシが語ることに
興味がなくなったのは確か。

ワタシもあの人に本音を語っても
全てが沈黙の答えばかりで。
答えがないのが答えってやつで。
別れしかない時間を過ごすうちに
あの人に語れる気持ちなど
なくなってしまいました。
沈黙の度に語られた"言葉の毒"が
今も解毒出来ない。