カズさんがあの人に預けた伝言。

聞くことはないまま今日まできました。

この先も聞くことはないのだと思います。

 

カズさんの最後の伝言を

何故ワタシが受け取れないのか

どんな言葉だったのか

沢山考えて来たけど。

そろそろタイムアップかな。

 

一緒に居た時に

伝言を聞きたいと云えば

2人の間にカズさんが

横たわるかもしれないと思って

聞けなかった。

それに「いつか」を信じていたし。

 

「ワタシがカズさんを選んだと思った」が

別れの理由なら

伝言を渡してくれたらよかったのに。

 

「そうだよ。カズさんを選んだんだよ」と

嘘をつけば伝言を聞くことが出来たのかな。

 

あの人が伝言の事を忘れたのか

伝える必要がなくなったのか

伝えたくなかったのか

分からないし

知らない。

 

伝言を預かった人が

あの人じゃなかったらよかったのにって

何度も思った。

他の人だったらお金払ってでも

土下座してでも聞くのに。

 

カズさんのことだから

きっと難しそうで簡単なトラップを

仕掛けてるんだろうなって。

別れずに10年後も一緒に居たらとか

条件でも付けたのかもね。


あの人に伝言を託したのは

ワタシが心配だったからなんだろうと

分かってる。

 

分かってるから

聞きたかったんだよ。

聞きたくて眠れない夜も沢山越えてきた。

ワタシには必要な言葉のはずだし

カズさんの言葉に

ワタシはずいぶんと護られてきたなって

思ってきたし今も思ってるから。

あの頃のワタシは居ないけど

でも、カズさんの伝言を受け取れる位は

残ってるんだよ。

 

あの人が

カズさんの伝言の事を

ワタシが忘れると思ったのだとしても

忘れないと分かっていたとしても

伝えるも伝えないのも

あの人次第。

ワタシへの伝言なのにね。

カズさんの最後の絵を

渡してくれると約束した日に

彼女と過ごしてた人だからね。

仕方ないね。

ワタシとの「いつか話す」の約束より

カズさんとの約束守ったのかもね。


大切な人のワタシへの

最後の言葉を

受け取りたいと願うことさえ

あの人の前では

何事もなかったかのようになる。


「いらない。」存在に成り下がったワタシは

情けなくうずくまるだけ。


「いらない。」って居なくなるなら

伝言を渡してくれたらよかったのに。

ワタシとの事は全部忘れてくれていい。

だけどカズさんの伝言は

その前に渡して欲しかった。


伝言を伝えてくれてたら

伝言の事を思う度に

あの人がちらつく不毛な時間を

過ごさずに済んだのにね。


今夜は細い細い三日月。

三日月が消える前に

眠れたらいいな。

夢の中でいいから

伝言が聞けたらいいな。