堕胎の決断を、事実を

ワタシはこの先一生後悔することになると

覚悟していたつもりでした。

後悔や罪悪感がどんな姿でワタシの前に

現れようと受け入れるしかないと。

一人では持ちきれないことも

分かっていました。

 

頭痛と吐気と子宮の痛みを感じて

麻酔から覚めた時に

自分が生きてること

「一緒に死ぬ」を選ばなかったことは

間違いだと後悔しました。


子供を殺してまで

ワタシは自分が堕胎後

どう生きるつもりだったのか。

分からなくなりました。


術後の検診が終わるまでは居ると

云ってくれたあの人に

「またこの子が戻ってこれるように

一緒にいて欲しい」と

自分の弱さや辛さをぶつけてしまいました。

「子供に恥ずかしくないように生きる」と

あの人は答えました。


分かりきっていたことだけど

あの人が言った「生きる」の隣に居るのは

ワタシではないと

改めて思い知らされました。


術後の検診が終わった日の夜。

「多分彼女と結婚する」とあの人は言って

ワタシの前から離れていきました。


一人になってワタシは

殺してしまった子供の命の意味を

考えました。


殺してしまったけど

ワタシは子供を授かった事が

本当に嬉しかったし幸せでした。

子供はワタシに幸せを届けてくれたのだと。


「生きる」と言ったあの人にとって

この堕胎の選択が

大切なことや人を守り

この先幸せに生きていけそうだと

思う方であったのならば。


だとしたら

この子はワタシにもあの人にも

幸せを届けてくれたのではないかと。


あの人は最後まで

「堕して」とワタシに云わなかったから

理由は分かりきってるようで分からなくて。

ワタシは自分の決断に

後悔と罪悪感と自己嫌悪しかなかったけど

あの人には

この決断を疑わず幸せになって欲しいと

思いました。


言い訳にもならない自分勝手なことを

堕胎した後のあの時

ワタシは考えてました。