繋がった電話であの人は

ワタシの首にある指輪を「外して」と云って

「いや」と答えたワタシを見て

「カズさんを選んだと思った」と

別れの理由を告げました。

 

ワタシには唐突に思えた

あの人の距離の理由を

散々考えても分からなかった答えを聞いて

やっぱり少し笑ってしまいました。

 

そんなことをする女に

思われていたんだって。

死んでこの世に居ないカズさんを

選んだということは

あの世でお幸せにってこと?

カズさんを裏切った後ろめたさと

流産の処理をさせた罪悪感は

消えていなかったけど。

本当に本当に勝手だけど

ワタシがあの人と居られる幸せの中で

カズさんに感じていた罪悪感は

「カズさんを選べなかったこと」

だったから。

それをあなたがいうの?って。

彼女と別れた後も机に置いてあった

バイクと一緒に映った写真も

出かける時に嬉しそうに

掛けてきた手作りのバッグも

一緒に選んだと話してたTシャツも

ワタシを不安定にさせたけど

大切な人をお互い傷付けてきたから

一緒に過ごす時間の中で

少しづつ変わって行ければいいって

やり過ごしてきたのに

自分で買った厄除けの指輪で

別れるんだからご利益ないなぁって

少し笑ってしまいました。

 

別れに従うと云ってメールしたけど

誤解だと伝えました。

誤解されたまま決められるのは

嫌だったから。

けれど、そういうことではなかった。

あの人が選んだ答えは変わらなかった。

 

離れる戻るを繰り返していた時に

あの人がいった言葉が頭に浮かびました。

「ワタシが別れると云っても

俺が会いたいって云ったら

会えるの知ってる」

それはワタシが無理に別れると云っても

ムダだよって意味で云ったのだと思うけど。

その通りだったなって。

あの人次第の関係だったなって。

 

ワタシはあの人に彼女がいることは

初めから知っていたけど

あの人が会いたいと思ってくれた時に

いつでもどこでも飛んでいける

自分で居たかった。

だから今あの人が

「ワタシはもういらない」

と云ったのだから

これで終わり。

そして、あの人がこの先ワタシに

会いたい云うことはない。

それだけのことなんだって。


ワタシは自分が誤解したまま

先を選びたくなかったから

あの人が迷う度に心が知りたいと

確かめてきました。

だから今でも呪文のように残ってる

ワタシにとっては聞きたくないことも

聞いてきました。

大切な大事な大好きな人だから

あの人が決めたことを心と思って

添って叶えてきたつもりです。

それしか出来なかったし。

 

けれど

あの人にとっては

本当のことはもう必要なかった。

本当のことを知っても

戻らない程に心が離れてしまっていた。

 


そのことを受け入れられずに

別れしかない時間に疲れきっていて

心音が止まった子供がお腹に居て

愛ちゃんが天国に

行ってしまうかもしれなかったあの時

ワタシは苦しくて壊れそうで

一生後悔する一言を

あの人に云ってしまいました。