「歩くの遅い」

上司がワタシによく云う台詞です。



体調が優れない日は自分でも判っている。


仕事の時は意識して早く歩く様にというか

キビキビ動いてますよってなるべく見えるようにしてるつもりでも

やっぱり体調が悪い日は歩くのが辛くなります。


体に力が入らない感じ。



遅いとダメなのでしょうか?

早いほうがいいの?


「歩くの遅い」と云われるとちょっと沈んでしまいます。





カズさんは遅い!!

遅すぎる!!



彼の趣味は「よそ見・寄り道」だけあって

速度というより、よそ見が多すぎる。

普通に10分で歩ける距離もカズさんに掛かれば倍にも3倍にもなる。



一緒に街をあるけば あっちにふらふら こっちにふらふら。

河原を散歩したら もっと大変。



転がっている石ころにもスカウト活動。

「おまえ かっこいいな。家の庭に来ないか?」

「ダメです。」ってワタシが止めても 聞いちゃいません。

「そんな石ころ達で庭は凄い事になってるでしょ?」

「・・・知りません。」 最後は理不尽な態度。


空を見上げては「早く あの雲を追い抜くんだ」なんて 

勝手に雲レースを始める始末。

エスカレートすると雲の派閥抗争にまで・・・

「あいつ~ 出し抜いて あっちについたな」

(そんな世界なの?雲の世界って・・・。)


河原に咲いてる 名前も知らないような草花達にいちいち反応。

「なんて花?」「なんて草?」

この位なら まだまだワタシも楽勝。




「この紫色はこの子の自慢なんだと思うよ。他の花には出せないだろって

誇らしげな姿勢で咲いてるよね?」


「・・・・・・そうですね。」


「じゃあさ、この子の自慢は何だと思いますか?」




「・・・・・・・。なんでしょう・・・。」

ここら辺になるとワタシはお手上げです。




カズさんは何でも 「この子」にしてしまう。

そして名前を付けてしまう。




カズさんと一緒に歩くと、3歳児並みの「なんで?」「なにこれ?」攻撃に

疲れながらも彼の趣味に付き合って歩くのがワタシは好きでした。




彼に合わせながら、

彼もワタシに合わせてくれていた。

そうして、あてもなく歩くのがとても好きでした。




歩く速度はきっと一定ではなくて。

走る時もあれば、ゆっくりの時もあって。

歩くのをやめてしまう時もある。

歩けない時もある。



ワタシ達にも 勿論そんな時間があって。

それでも速度を合わせながら歩いて居たんだなって。



最近 そんな事を考えてりしています。




今、ワタシは冬眠中です。


歩くのを止めた訳ではないけれど

随分と時間が掛かりながら、一歩一歩 歩いています。




「マイペースすぎますよ」ってカズさんからよく云われた言葉。



分かってますよ、カズさん。

もう少しマイペースすぎる速度でいさせてくださいね。

冬眠から目覚めたら、周りに合わせたり出来る様になりたいって

思っています。






生きる速度って分からないけど。



カズさん  あたなは早すぎたね。

あなた自身が望んだ事では無かったと思うけど。



あんなに寄り道が好きだったのに

どうして こんなに早く逝ってしまったのかな。



もっと もっと 寄り道したかったでしょ?




ドコデスカ?