今日は誕生日。

ワタシの誕生日でもあり、カズさんの誕生日でもある。


二人の誕生日が同じだって事にカズさんはとっくに気がついていたけど

ワタシが「いつ?」って聞かないでいたから

「同じ?」ってワタシが驚くまでに随分掛かりました。



「運命とか云わないで」って云われたけど、

それでも私は運命を感じていました。






「オレの誕生日は別の日です」って打ち明け話には涙は出ませんでした。




とある街の教会に目覚まし時計と一緒にカズさんが置いていかれた日が

38年前の今日。


その日がオレの誕生日になった。


それだけ。


めでたい日でも何でもないですよ。

だから運命とか云ってはダメなのです。

って笑って云うカズさんはらしくなかった。



生まれてきた日に皆におめでとうって云ってもらえる日。

何となくだけど、毎年来るこの日にイヤな事とか辛い事とかは

起きないで欲しいと思ってしまう日。

誕生日ってワタシにはそんな日でした。



ワタシは大それた事は何も出来ないし、語るほどの人生でもない。

だけど、カズさんの打ち明け話を聞いた日 誓ったんです。



誕生日には

「おめでとう」と「ありがとう」ってただ 云おうって。


う~ん・・って困った顔して笑っても

「おめでとう」と「ありがとう」って云い続けようって誓ったんです。


大した意味なんてありません。

そうしたかっただけ。



いつからだったかな・・はっきりとは思い出せないけど。

「今年の誕生日は・・」なんてカズさんがウキウキ顔で計画書を

書くようになったのは。

いつもいつもワタシの仕事で計画倒れにしてしまったけれど

カズさんの大プロジェクトにワタシもウキウキしたものです。



カズさんが生きていたら。

38回目の誕生日。折り返し地点を記念してグランドキャニオンの

前で裸で記念撮影するんでしたっけ?

嘘付きになって女の人泣かす一年にするんでしたっけ?




「おめでとう」「ありがとう」




ドコデスカ?






カズさん。

あなたが最後にくれた誕生日プレゼントは一生忘れられそうもありません。

あなたらしい、あなたしか贈れないプレゼントに涙が出ました。

大切に出来なくて ごめんね。