http://hrp-newsfile.jp/2015/2396/

文/HS政経塾・スタッフ 赤塚一範

◆暗雲たちこめるアベノミクスの将来

アベノミクスの将来に暗雲が漂っています。

一時は2万円を突破した株価は、連日下落、9月8日に発表された4月~6月期にかけての実質GDP成長率は前期比0.3%減であり、マイナス成長を記録しました。

特にGDPの約6割を占める消費支出の成長率が0.7%減、企業の設備投資は、0.9%減と、未だ消費増税の影響から脱しきれていないことを示す結果となりました。

◆懸念の多い財務省案

このような中、17年4月に消費税率を10%に引き上げるため、負担軽減策をどうするかで政府与党が揺れています。

これまで自民党、公明党は負担軽減策として生活必需品に対する「軽減税率」を模索していました。

それに対して、今回、財務省が提案した「日本型軽減税率制度」は、マイナンバー制度を利用して一人当たり年間4000円を上限に、増税分を還付する方式であり、軽減税率を主導してきた公明党からは非難が殺到しています。

また大手新聞などマスコミ各社も、突然の「財務省案」に対する懸念を連日に渡って報道しています。

懸念は主に、(1)軽減税率に比べ痛税感がある、(2)政府に買い物情報を把握されてしまうなど監視社会への不安、(3)マイナンバーカードを常に所持しなければならないことから生じる不便さやリスク、(4)制度導入に伴う企業・政府の莫大な設備投資負担、などが言えるでしょう。

◆軽減税率か還付方式かの議論は本質的ではない

確かに、財務省案は非常に多くの問題点を抱えています。

しかしだからと言って「軽減税率」が良いわけでもありません。消費増税の負担を軽くするため自民・公明両党は軽減税率の導入をこれまで検討してきました。

財務省案も「軽減税率制度の基本的な特徴を兼ね備えつつ、軽減税率制度の課題を克服するというのが中核的なコンセプト」と麻生財務相が言うように、制度的に財務省案と軽減税率と大きく違いますが、導入に至る基本的な考え方は、同じです。

◆安倍政権は政府が経済を動かせると考えている

しかし、問題の本質は「軽減税率か還付方式か」ではなく、「増税によって非効率な政府の権限をこれ以上増やして良いのか」という点にあるのです。

マイナンバーを使った還付案は、国民を政府の監視のもとに置く可能性のある恐ろしいシステムですが、軽減税率にしても、政府が軽減税の適用範囲を決める裁量を握ってしまいます。

どちらの制度を採用しても結局「国民の裁量を奪って政府の権限を強める」のです。

これまでの安倍政権の経済に対する政策を見ると「賃上げ要請」「マイナンバー制度の推進」「軽減税率」「女性の社会進出を応援するための規制」など、まるで政府による指示によって経済を運営できると考えているかのようです。

◆民間の裁量を増やす減税こそが経済を活性化させる

確かに戦後の日本やアメリカ、少し前の中国など重厚長大な重化学工業が産業の中心である時代において、経済において政府の果たす役割は大きかったと言えます。

また、現在においても莫大な投資が必要となるインフラ整備においても政府の果たす役割は大きいでしょう。

しかし、第三次産業が経済の中心となり、情報、知識が重要な生産要素となる社会では、同じようにはいかないでしょう。

経済は生産現場の情報や知識や創意工夫、消費者のニーズ、マインドによって動かされています。

そしてそれらの情報を政府は事後的に知ることはできますが、事前に知ることはできません。現場の人間や企業こそが新しい価値を生み出す主役です。

この現場を活かすことを中心にした政策が「消費税の減税」です。

政府の裁量を増やす「軽減税率」や「還付方式」ではなく、「消費税率を5%」に減税することこそ、民間経済を活性化させます。

政府は、自分で火をつけて自分で消すような「消費増税&軽減税or還付」という愚かな政策ではなく、消費税減税こそ経済を活性化させる唯一の政策だと知るべきです。

財務省は2017年4月の消費税10%への引き上げに合わせ、消費税の還付制度を提案しているが、この制度の問題点や不透明性が明らかになりつつある。

 

増税の負担軽減策としては、与党が提言する軽減税率がある。これは、10%に消費税を引き上げるに当たり、一部の食料品をはじめとする生活必需品の税率を8%にとどめる制度だ。一方財務省は、消費者がいったん税率10%の代金を支払うが、その際にマイナンバー(共通番号)カードで本人確認をし、後で2%分の差額の税金分を給付するという還付制度を提案。レシートに還付分が表示される仕組みも検討している。与党はこの財務省案に対し、「公約に掲げた軽減税率と違う」と反発している。財務省は9日、1人当たりの年間給付額の上限を約4000円から5000円程度に微修正し、反発する与党を丸め込もうとしている。

 

 

「導入費用の方が高い」と懸念される消費税の還付制度

財務省の提案する還付制度を実現するには、全国の小売店舗にマイナンバーカードの読み取り機を備え付ける必要があり、それには数百億円に上る費用と手間がかかる。

たとえ導入が完了しても、高齢者が営む個人商店で読み取り機を使いこなせるのかは不透明だ。

その費用を税収で賄うのであれば、消費増税をするのは本末転倒という反論もある。

 

この提案の背景には、国民の収入や資産、経済活動が把握できるマイナンバー制度を普及させたいという財務省の思惑があるようだ。

麻生太郎財務相は「マイナンバーカードを持ちたくなければ持って行かなくていい。

その代わり、その分の減税はないだけだ」と発言した。

この発言にも、同制度の真の目的は低所得者層の救済ではなく、消費税の給付と引き換えにマイナンバー制度を普及させることにあるという「本音」が見え隠れする。

 

かといって与党が掲げる「軽減税率」案も、ぜいたく品と生活必需品の線引きを行う上で大きな混乱を生む。

財務省がその権限を使って特定の企業と癒着する可能性もあり、国家権力の利権が拡大する恐れがある。

 

2017年、消費税が10%に増税されれば、買い控えによって日本経済が低迷し、結果的に税収も伸びないことは明らかだ。

真に日本経済を活性化させ、税収を増やし、低所得者層の負担を軽減するためには、軽減税率や還付制度の導入ではなく、消費税そのものを5%に減税することが最良の方法だといえる。(真)

 


河川情報
・古河市では西仁連川の堤防が決壊
・石岡市を流れる恋瀬川の水が堤防を越えてあふれている
・桜川市にある桜川警察署によりますと、市内を流れる桜川で堤防を越えて水があふれ、川沿いの市道や農道など13か所が通行止めになっている

≪午後3時半現在≫
・茨城県では常総市で鬼怒川の堤防が決壊し午後3時半現在、濁流が激しい勢いで住宅街に流れ込んでいます。NHKのヘリコプターの映像では決壊した堤防の周辺では多数の住宅が流されたり傾いたりし、取り残された人が助けを求めている様子が確認できます。消防や自衛隊がヘリコプターで救助にあたっていますが、地上からは近づくのが難しい危険な状況が続いています。

・浸水の被害が起きている本石下地区と若宮戸地区を中心に39件の救助の要請があり、少なくともあわせて80人が身動きが取れなくなっているということです。

・本石下地区にある東さくら保育園では園児を含む18人が隣の住宅に避難し救助を待っているほか、同じ本石下地区にあるコンビニエンスストアでは周囲が水に浸かり従業員6人が取り残されているということです。

・住宅の中に取り残されているといった住民からの通報が相次いでいるということですが、浸水が広い範囲に及んでいる上、流れ込んでいる水の勢いが強く、多くの場所で警察官が現場まで近づくことができないということです。