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カスタレード1934




夢で見た

あなたのお店はね
実篤の幻影に人が群がっていただけだった 


あなたのおとう様には
才能もなく

あるのは権威と
名声だけだった


誰も
あなたのおとう様の芸術を 
本気で評価はしていなかった


幻影が生みだした名声に
人々が群がっていたの


あなたのお店に
やたら編集者や
出版社 メディア関係者が一目置いていたのも 
実篤の幻影をそこに見てたから


酒でも 
店でもなく
見てたのは 実篤の幻影


あなたを見てたわけじゃない


人の名声は快楽や優越感から生まれる

すばらしい物だから 
生まれるわけではない

むしろ本当に才能がある者には名声はない


歴史を見ればそれは明らか

死んでから名声がつくことはあっても
生きてるうちに名声がつくことはなかなか ない

人の感情とはそういうもの

すぐれた才能には嫉妬が生まれ

その感情が邪魔をして 
名声はつきにくいの


だってその才能に本気で憧れたら

悔しい 
取って代わりたい 
あの才能が欲しい
と想うのが
人の感情でしょ?


今の著名人が
長いこと座にいれるのは 
彼らの才能に嫉妬する人が
誰もいなかったことのあらわれ  」



私 不思議に想ってた

何で何度も
舞姫さん(ストリッパーさん)や
電脳巫女(AV女優さん)のところに会いに行ったのか


でもね
夢を見てわかったの


舞いは 
対人に対して幻影を生むもの
天の岩戸開きはそこからはじまった


そして 
電脳巫女は
火星のアトランティスの女王の再現のような存在だった

つなぐという行為を
不特定多数の存在に同時に見せる


それが南極の日食の緩衝で
復元されたことが わかったの 」



あなたの店

あの地下の 
あの場所でやっていたのは 
たった2年間 


あなたの店は
天の岩戸開きに
利用されていたに過ぎないの


あなたのご実家のお墓
巣鴨にあったあのお墓


2013年
あなたのお母様が 
何故か突然
貴方にも無断で
墓を跡形もなく壊してしまったけれど


多分
あなたの家系は
天の岩戸開きのターゲットにされていた
  

あの墓のまわりは
やたら文豪の墓が多かった


あなたはね

実篤の幻影のおこぼれに預かっていたに過ぎないの


優越感という名の名声 

肥田さんもその影が見えたんだと想う 


でも
あなたが世に出なかった理由は
あなたには実篤の幻影が乗らなかったから 


あなた自体が
それを拒絶してたから

とは言っても無意識の問題だけど

それで他人に
幻影がのってしまったの


何故ならね


あなたは
何が何でも 
世に出たいと想っていたわけじゃない


もし本気でそう想っていたなら

あなたは今頃
ベストセラー作家か
著名な映画監督になって
レッドカーペットの上とかを歩いていたはず 」



あるライターが
あなたの店を取材した本を見て 
感じたの

「 南極の氷 」
「 服はラフ 」
店のことには
あまり興味がないことがわかった 


あの人が
興味あったのはあなたのこと

でもとても焦ってた

やたら丁寧に
丁寧に書いてあったけれど

「 これじゃ持ち上がらない なんとかしろよ! 」って
自分のチームに 命じてた


だって
服をきちんとしないと
世界では
幻影はのりづらいから 」



拒絶した理由?


だって
あなたは
実篤の小説なんかクズだと想ってたんでしょ?


そんなもので満足できなかったんでしょ?


実篤の幻影をのせられて世に出たら
それ以下の物しか作れない


幻影以上の物を生みだした途端
幻影は消え
嫉妬にまみれたバッシングがはじまるから 


本物の才能は 
最初見た瞬間
すばらしいと想っても
見ていくうちに不快感を感じ
反感と憎悪 嫌悪に変わっていく 


幻影は
優越感から来ているの

 」(妻のことば)



妻は
寝起き時に
こんなわけのわからないことをよく言います


時には絡み口調で
時には意味不明で脈絡なく


何かを想いだしてるように 

私はその言葉を聞き流しながら

よく考えるのは 
お金の事や
ごはんのことです 


上の言葉を言われるたび
「 ああ お金があったらなあ 」
「 もっと好きなごはんを 毎日食べたいなあ 」と想ったりもしています



前回
銀座の店ではなく
ちくさあのあの田舎でBARをすると決めたのですが 

ちくさあの方が
開店資金はかかります  

足りない資金をどこか別な場所で
ねん出せざるを得ない状況で


現在の会社の仕事とは別に
何故か 派遣登録もしはじめました

なにがなんだかよくわかりません



ただ
開店する日時が延期された分


資金稼ぎをする間に
少しづつでも
在庫のお酒のティスティング記事を再開したいと想いました



というわけで 
ひさしぶりの
ティスティングレポートです 

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カスタレード1934



以前 
この姉妹品
1938と1939カスタレードをご紹介しましたが


この
1934カスタレードは 
上のビンテージと明らかに異なる味の出方を感じさせます




なんで 
昔のブランデーは
作られたビンテージが違うだけで
こんなに味の出方が魔幻に変わるのでしょう


封明け直後は
香りはさほど立ちません
でも空気に触れはじめ 
少しづつ甘味の香りがあたりに漂ってくる


口中の第一印象は 
長い苦み走った余韻でした 


太い輪郭を漂わせながら
荒々しい野卑さが舌にズンとつく 


でもやがて
濃い甘い香りがぶわんっとかぐわってきて
苦いだけの余韻に 
少し甘みを含んだ
荒々しさの中の華麗さとも呼べるような趣がではじめます


その味の腰の強さが舌だけでなく
腹にまで
確かなずんとくる重みをもって堪能できるのです 


その太い強さは
あたかも
以前飲んだ
19世紀のビンテージアルマニャックにも感じた

パンチの強さの片鱗を彷彿とさせる趣でした


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注いでから
20分ぐらい置くと


やがて苦みは息をひそめ 
香りも少しおとなしくなってきました

でも
舌の上で 濃い甘味がじわじわと輪郭をより現してきます



アルコールの生き生き感は
簡単にはヘタレません


今の40度のアルコールと
昔の蒸留の40度のアルコールは
同じ40度でも 中身が異質であることをまざまざと感じさせてくれます


またしばらく置くと
果実を熱にかけたような甘い香りがかぐわいはじめ
甘いまろやかな味の後に 繊細で薄い苦みを長引かせた余韻を堪能できます


ともかく濃く 太く 味の余韻が長く
味が刻々変化するアルマニャックです


最初の一口は苦みしか感じないかもしれませんが
グラスで時間をかけて味わうと
このお酒の想わぬポテンシャルに驚嘆するはずです


開封したては30分以上時間をかけてティスティングするとよいでしょう

中ほど以降は10分以内で飲むのが良いかもしれません

でもボトルの底でも味の強さは味わえると想います

1938 1939がこなれた古酒の味わいとすれば
この酒は昔の酒の腰の強さ 生命力を感じさせてくれると想います



まさに
昔の味のブランデーです

飲むと元気が
力が
体から湧く 
そんな飲み心地になります 


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このお酒はね
引きづりこもうとしているの


でも人は引きづりこもうとしてるものに
拒絶感と同時に魅力を感じる 


それは
植物の習性に似てるからかもしれない


植物はいつもいつも
人も動物も食べようとしているから 


「 私 守ってあげる 」という女ほど
人を食べようとしているの

おおらかで動じない人に怒るのは
人が飲みこまれる恐怖を感じるから 


心の中で
呑みこまれることに魅力を感じてるから
そんな自分に恐怖して怒るの  」(妻のことば)



秋の湖みたい
にがくて
甘くて
ひきづりこまれてしまう 」(妻の詩)


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ひとつ未来が見えた

はるちゃんの幻の階段を駆け上るって詩の意味


それは
幻影で現実を受けとった人は
そのすべてが 
幻と化すという意味なの


私はね 
新しいBAR
「幻の桜 」は
実篤の幻影じゃなく
はるちゃんのお墓から作りたいの


だってそれが
はるちゃんの願いでもある気がするから 



はるちゃんは
ヒロイン願望がとても強かったから 」(妻のことば)