夏休みの楽しみ、水浴び。昼食もそこそこに大川へ急ぐ。大川といっても、
川幅3mほどの近所の小川だ。親達が毎日、板で水を堰き止めて自然プールの
出来上がり。下級生は川下の浅いところで、浮き袋でプカプカ遊ぶ。上級生は、
川上の橋からダイビング。まるでスーパースターを見るように見とれていた。
 全員集まると狭くなり、逃げまどう魚が足にコツンコツンと、しかしやわら
かくあたってくる。泳ぐのに飽きると、岸の玉石積みの中に手を突っ込み魚とり。
追い詰めて手の先にやわらかい魚の腹が触れているのに、なかなか捕まえられぬ。
石に尾びれを押さえつけてようやく引き出せたモロコやハエ。喜びを確認する
かのように、しばらく白く輝く魚を見つめ、放してやる。追いかける水中メガネ
の先の魚も、今から思うと仲間のように感じていたようだ。
 泳ぎ疲れ、浮き袋を腰に、夏の暑い太陽の日差しを首に、トボトボ帰る。
桜の木の下まで来る。ミーン、ミーン。セミのやかましいこと。木漏れ日の中で、
セミを数える。浮き袋をはずし木に近づく。一瞬、息をひそめ、パッと手を突き
出す。成功した時は、セミの扇風機で、しばし涼をとる。逃げられると、おしっ
こを顔にかけられる。
 姉にせかされ、家に帰る。200mほどの距離なのに、これが又遠かった。やっと
帰り着く頃は、再び体がほてってくる。運がいいと、川水で冷やされたスイカが、
食べられた。実においしかった。手を洗ってさっぱりすると、座敷で大の字に
なって昼寝。顔をなでていく風が心地よい。いつのまにか、ぐっすり寝込んで
しまう。起き出す頃は、太陽も沈みかけている頃だった。夕日で赤く染まった
景色を、ボーッとして見ていた。子ども心に、時間がゆったり流れているように
思えた。30数年前の小学生の頃の思い出です。子ども達も100年後の子ども達も、
美しい生きた川があれば、きっと目を輝かせて同じように遊ぶでしょう。そんな
思いで、(どろんこ探検隊の活動を)出来ることを少しずつやっていこうと
思っています。

    1999年5月 旧糸貫町の広報に掲載 どろんこ探検隊隊員の雑感より