魔王が死んでから、どのくらいたっただろう、
やつの右腕は俺になじんだ。

しかしそれは、俺自身が右腕を受け入れたのではなく、 
右腕が俺を体として認識しただけのように思える。




ようするに、侵食されたのだ。

俺は魔王、
既にニンゲンではない。





・・・
・・・
・・・





土曜日、

七日に一度、この日だけは土曜日とした。



魔族に曜日という文化はないようで
時間の感覚が狂わないように

せめて7日に1度だけでもと考えたからだ。



………本当の理由は
部下の要望によるものなのだが……







「おいゲン!ドヨーだ!!」



この前話した時、
酒を飲む日として覚えたらしい。

理由を見つけてはのんでいる。
シュキはいつになってもシュキらしいままだ。





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・・・
・・・





「ついに……明日だな……」

「つってもお前が気張ることはない、
魔王の余裕を見せつけてやれw」


こういうときのシュキは、
本当に心強い。







魔族には大きく分けると、
4種いるらしい。


うちの部族は、いうなれば、
戦闘集団。

シュキに代表されるように、
体が大きく、筋肉質。
俺はそこの代表である。




ほかには、
知的部族、精霊的部族、獣神的部族、とあり、

この4部族の中から
魔族を統帥する”魔王”が選ばれる。





元々うちの部族の代表が魔王だったため、
そのまま俺が魔王になってしまったのだが、

知的部族の代表が物申しをいれてきたため、
今回に至るのだ。






「しかしあの貧弱どももよくやるよな…
酒のねぇ話し合いなんてめんどくせえことを…」


明日、4部族の代表での会合がある。

「なんならおれがしめてやろう!
さあ戦争だ!!!」

戦闘部族と知的部族の仲が悪いのも納得できた。





・・・
・・・






「寝ないの?」



シュキとのんだ後、一度は眠りにつけたのだが、
横になるのが早すぎたのだろうか、起きてしまった。


「明日なんでしょ??会合」

酒のあと、
なんだか無性にさみしくなってしまうときは、
こうしてロリにかまってもらいにいく。

「ちょっ…ロリって言うなし…」

実はロリではなく、近い年齢だったようだ。







何年かするうちに
情がわいてくるものである。



前まではうろちょろと目障りだったのだが、

お互い大人になったのだろうか、
距離はしだいに離れていった。



ないものねだりとでもいえばいいか、
最近は妙にロリが魅力的にみえる。


でも追えばさらに離れていく…
もどかしい。








「あたし…ちょっと忙しいからさ…」


言い終わるまえに
手が自然とのびていた。


後ろから顔をうずめるように抱きしめる。

彼女に自分の空白をうめてもらおうと、
強く、強く。




「…へぇ…
やっぱ明日、不安なんでしょ」


「シュキさんがなんとかしてくれるって!
それじゃ眠いからお休み~☆」





つれないやつ。

いや、それを知ったうえのことで、
ただからかわれているだけなのかもしれない。



それでも
俺にはそれが心地よい。

恋に隷属している気分。






しかしだんだんと我にかえってみると…

……これだから夜更かしはよくない……








・・・
・・・
・・・




なおも眠れない。

明日の会合に緊張しているのだろうか。





今ではこの白い部屋にもなれ、
一番落ち着く場所になったのだが、



唯一よくないこと、

部屋に何もなさすぎるためか、
余計なことが
次々と頭に浮かぶことである。





リンへの恋心、魔王の最期の言葉、
さっきの酒の味、勇者討伐、






そして
あの弟に似た生き残り…














……土曜の夜は、夜更かしをする。



ドラゴンネストR