これまでのおはなし
第1話 発端
第2話 契機
第3話 契機2
第4話 契機3
第5話 邂逅
第6話 邂逅2
人は得をする行動よりも、
損をしない行動を選択する。
「まともな情報商材ってあるんだ。全部ヤバいと思ってた」
ナオキの話を聞きながら思ってたことをそのまま口にした。
「現実問題、ほとんどがクズみたいなもんらしいけどな。
おれはたまたまアタリを引いたみたい。ラッキーだったわ」
「ふーん。あまりピンと来ないけど、ナオキがマニュアルを実行して
結果を出したんなら、怪しかろうがなんだろうが、それは有効だって証明になるわな」
「そうそう。結果論になるけどな」
そこからはその話題から外れ、世間話や共通の友人の近況、ナオキの結婚相手の話になった。
しかし、わたしの頭の中はナオキのナンパについて気にしている。
マニュアルを読んで、ナンパができる?
そんなワケがない。
でもナオキはおれに嘘をつくはずはない。
だから、
マニュアルでできるようになったんだ。
わたしは昔から慎重な性格だった。
小学生の頃はテレビゲームを親に買ってもらうと
まずすることといえば、ゲームの説明書の熟読だった。
ゲームのあらすじを読む。システムを覚える。アイテムを覚える。
そこでやっとゲーム機の電源をいれるのだ。
ネット環境が与えられてからは、
ゲームをするときは必ず攻略サイトを探した。
効率良くゲームをプレイする方法ためだ。
ムダなことはしたくない。
取り返しがつかなくなることはしたくない。
だから攻略サイトを熟読した。
慎重な性格。といえばそうかもしれないが
何も自分で決められないともいえる。
後悔したくない。
後悔するくらいなら、やらない。
ゲームは好きだ。今でも好きだ。
スマホの中には何種類もゲームアプリがインストールされている。
電車を待つ時はほとんどゲームをしている。
(電車の中に入ると、読書)
スマホのブラウザには、ゲームアプリの攻略サイトで溢れている。
マニュアル好き・攻略サイト主義なわたしだから、
ナオキの話が余計に気になるのだ。
ナオキとはその後も他愛のない話をし、解散となった。
ほろ酔いのナオキは帰り際、わたしに言った。
「ウエダ、たのしめよー」
軽い調子で言ったナオキの言葉は、
わたしに深く、深く刺さった。