(続き)


鹿柵の下を潜り抜け、

さらに山奥へと駆けていったアリス。



我々も山に入り捜索するも、

気配すら見つけられない。


日暮れ近づく5時過ぎ。


本日の、捜索は打ち切りに。


お母ちゃんは、

泣きながら

捜索願いのチラシをコピーして

車で帰路につきました。


時間は7時過ぎ

車のライトをつけて走行中

家の前の道に差し掛かった時。


我が家の玄関の前に、



白い動く物体!



野良猫???


白い動物は

その場でくるっと回って、

じーっと我が家の玄関を

見つめている!!!


横顔、立ち姿!!!


アリスだーーーーーーー!


でも、すぐにまた、川土手の方へ

走り去ってしまいました。


アリスが、

帰って来てくれた。

息子も部屋の窓から室内を

覗くアリスを見たと!


間違いない、

我が家をマイホームだと

思って帰ってきてくれたんだ。


でも、入れなかったんだね。

台風近づく中、

玄関ドアと息子の部屋の窓を

開け放ち、朝まで帰宅を待ちました。


日曜日の、朝5時です。

家の隣の畑に、アリスの姿が!


娘が、レインを連れて近づきます。

嬉しそうにしっぽを振るアリス。

でも、どうしても、

人に対する警戒心が強く

家の中には入ってくれません。


近所の方とお散歩仲間の犬ちゃん。

再び集まって下さった

里親会の家族さん達と犬ちゃん達、

施設職員さん、


皆で、少しづつ、少しづつ

アリスが他の犬ちゃん達と

遊んでいる周囲を包囲して、

アリスの逃げ道を塞いでいきます。


施設職員さんが

持って来て下さった首輪を手に

アリスとコミュニケーションを

とる娘。


最後は、娘に託されました。


おやつをあげては、

首輪に頭を入れる様に、

何度も繰り返し繰り返し、

チャレンジする娘。


掴めそうだけど、

掴めない距離。


落ち着いて繰り返し、

ついに、首輪に

アリスの頭を入れる事に、

娘が成功。

そのまま

全力でアリスを抱き締めて

室内のゲージに入れる

お母ちゃん。





全てが終わったのが、

朝8時でした。


わずか、

23時間の間に起こった、

大大大大大事件。


人生で1番長い23時間。


皆、皆、皆、ありがとう。

関わって下さった皆さんの

お力が無くては、

絶対に戻って来なかった

日常。


日常に、ありがとう。





その後のアリスは、

びくびくが、増えました。


散歩すら、

今は前より大変になり、

家の出入りを拒否するので、

慎重に抱き抱え、

出入りをしています。


まだ、私達家族と

アリスの生活は、

始まって2ヶ月弱。


これから、これから。

まだまだこれから。


帰ってきてくれて

本当に、ありがとう。

アリス、愛してるよ。