ビートルズのデビュー曲。
なんとも退屈で珍妙な曲だ。
意外なくらいつまらない。
「ロックなハーモニカ」とジョンは言うが、『イギリス民謡』だといわれたら納得してしまいそうだ。
ただ、当時はまだハーモニカを全面に出したサウンドは珍しかったので新鮮だったのだろう。その後しばらくは、ハーモニカはビートルズを象徴する楽器と言ってもいいくらいマストなアイテムとなります。
この曲は三人のドラマーによる音源が存在する、ビートルズの213曲ある楽曲の中でも唯一無二の曲なんです。
1962年6月6日に、アビーロード・スタジオではじめて録音した時のドラマーは、ピート・ベストでした。諸説あるが、プロデューサーであるジョージ・マーティンが難色を示したと言われクビになってしまったが、この時の音源が残されており、アンソロジー①で聞くことができます。サビと間奏が独特で、リズムを変えるアレンジを試みており、たどたどしく聞こえてしまいますがクビにするほどかは疑問です。男前のピートに嫉妬したポールが追い出した、と噂されますがそんな単純な話でもないと思います。まあ、真相は謎である、としておきましょう。
メンバーが次にアビーロード・スタジオを訪れた9月4日には、リンゴ・スターがドラムを叩いていました。決して悪い出来ではありません。グループに加入して短期間にも関わらず、この安定感は流石です。
それでも、プロデューサー・サイドのドラムに対する不安は拭えず、9月11日のセッションでは、スタジオミュージシャンのアンディ・ホワイトが雇われました。この日のセッションでは、リンゴは一切ドラムを叩いておらず、タンバリンを叩いていました。
最終的に、リンゴのバージョンがシングルとして発売され、アンディのバージョンがアルバムに収録されました。混乱をさけるために、アンディのバージョンで統一され、リンゴのバージョンのマスターテープは処分されてしまいました。
両者の実力の差は素人の僕にはわかりませんが、左利きのリンゴが右利き用のセッティングがされたドラムで叩くという独特なスタイルが影響したのかもしれません。
現在でも、リンゴのドラムは下手だと評価する声を耳にしますが、この左利きの違和感が原因でしょう。下手ウマにも聞こえる違和感は、リンゴならではの「ノリ」を生み出し、普通の右利きのドラマーでは真似できない味になっているそうです。下手どころか、世界中を探してもなかなか見つからない貴重なドラマーなのです。