昨日の出来事は夢ではないらしい。
のそのそとベッドから這い出てカーテンを開けると、外はとても良いお天気だった。
よし。今日は寝具一式お洗濯しよう!
シーツ類剥がせるものを全部剥がして洗濯へ。枕も外へ干した。
朝ごはんを食べて後片付けして洗濯物を干した。
うん。この分ならすぐ乾きそう♫やった!
私は外に干した後の太陽のにおいが好き。なので、乾いたらそのまままた同じ寝具をベッドにセットする。そうすると寝る時に太陽のにおいに包まれて寝られるから。それが楽しみ。
音楽を聴いたり、本を読んだり、パソコンしたり、ピアノ弾いたり。あっという間にもうすぐ夕方…。
「浩二さん…、お仕事いつ終わるのかな。」
そろそろご飯の準備しなくちゃ。
って、なんだか新婚さん夫婦みたいじゃない?なんて、勝手に思って勝手に赤面。バカみたい(笑)
夕食の準備も中盤に差し掛かかった頃、ケータイが鳴った。
「はいはいはーい。ちょっと待ってね~」
着信主を確認すると…浩二さん。
電話だなんて、何かあったのかな。どうしたんだろ…
「もしもし。」
『あ、アコ?わるい。連絡するの忘れちゃって。もうすぐ着いちゃう、家。』
「そうなんですか。大丈夫ですよ。今作ってるところですけど。」
『そ?じゃ、またあとで。』
「お待ちしてまーす。」
電話を切るとすぐに
♫ピンポーーーン♫
え⁉︎
♫ピンポーーーン♫
「はーい。」
『どーもー。』
下を向いている浩二さんがドアスコープから見えた。
「早くないです?」
鍵を開けながら言うと、
『ちゃんと、着いちゃうって言ったじゃない。』
とイタズラっ子な顔。
「言いましたけど…。まさかウチにとは。」
『やや、ダメなら出直しますけど。』
「大丈夫です。まだ時間かかりますけど。どーぞ。」
『うん。じゃ。』
そういうと浩二さんは
『ただいまーーー。』と言って中へ入った。
ソファへ行ってゲームをするかと思いきや…
『アコちゃん…ちょ、来て。』
ゲームをテーブルに置いて、顔だけをコッチに向けソファから私を呼んだ。
「“ちゃん”って…。なんですか?何か企んでます?」
『いやいや。いーから。来なさいって。』
浩二さんの前に立ち、また聞いた。
「なんですか??」
『ここ、座って。』
浩二さんは自分の隣を左手でポンポンとしながら言った。
なんで…と言いかけ、私は浩二さんの真剣な眼差しに負け素直に従うことにした。
10cm程開けて座る。
『もっとこっち。』
そう言って左手で腰を持たれ、グッと引き寄せられた。心臓がバクバクする。
その手が肩まで上がってきた。そのまま浩二さんは右側へ倒れ、私は浩二さんにもたれかかるように右側へ傾いた。
「あの…」
『シーーッ』
浩二さんは右手の人差し指を唇の前で立てた。
『この指、よーーく見て。ずっと。』
その指が唇の前から前の方へと伸ばされる。
私はその指を目で追う。
『ねぇ、アコ…。』
「はい…。」
『あの…さ。中入れないの?あの洗濯物。』
浩二さんは笑いを堪えていた。
浩二さんの指差す先には…
寝具一式!!
「あーー!忘れてたぁ!!」
『ふあっはっはー!どじ。』
そう言って笑うと、浩二さんはまたゲームを始めた。