去年の夏、CSで放送された劇場版アニメ「蛍火の杜へ」を録画した。録りだめしてしまうたちで、先日やっと鑑賞したのだった。

 

この映画は、自然豊かな地で主人公が様々な妖怪やそれに関わる人々と出会いながら成長していく姿を描いた「夏目友人帳」の作者である緑川ゆき原作のアニメ化で、もう一つの人と妖怪とのお話と聞いていたからだ。 

 

44分の短い映画だった。

 

森の中に捨てられた赤ん坊を憐れんだ山神さまによって命を与えられ、その森に住む妖怪たちに育てられ人間から妖怪となったギン。

 

姿形が人間だと怖がれないからと常に狐の面をつけている。

妖怪の寿命で生きるギンには山神さまから与えられたある条件があった。

 

 

人間の少女と出会い時を過ごしていく。

 

やがて成長し、少女からひとりの女性へと成長していく姿をみて、

 

出会った頃と変わらないままの自分との時の流れの違いに儚さを感じて行く。

 

互いに淡い恋を抱いていく二人。

 

でも、ギンは人間に触れられると消えてしまう。

これが山神さまから与えられた条件だった。

 

突然の別れに儚さとせつなさが込み上げて涙が止まらなかった。そして、心が洗われる美しい映画だった。

 

映画の世界をもっと知りたくて調べてみると舞台となっている森の中の神社は実際にモデルとなった場所があると知った。

 

熊本県は阿蘇郡高森町にある上色見熊野座神社(かみしきみくまのいますじんじゃ)だった。 

 

上色見熊野座神社

 

在住する県にあると知り、驚きと嬉しさが込み上げてきた。

 

そういえば、夏目友人帳も熊本県の人吉が舞台だ。作者の緑川さんご自身が熊本出身で在住していらっしゃる。

 

私は蛍火の杜の世界に浸りたくて実際にその神社に訪れたのだった。

 

 

まず驚いたのは参拝者の多さだ。

駐車場には県外ナンバーが目立った。

ネットで見た神社の雰囲気から、メジャーな場所ではないと勝手に思い込んでいたのだ。

 

最初の鳥居を潜ると参拝者が被らせたのかニット帽を被った可愛らしい狛犬さんが迎えてくれる。口に硬貨が沢山入れられていた。なにかの願掛けなのだろうか。

 

 

そのすぐ側に鎮座する狛犬さま。ほんわかとした空気で参拝者を見下ろしてた。

 

もう一体、玉を加えた狛犬さま。

西日が差して眩しいー!

 

背の高い木々の中にある長い参道の両脇には石灯籠が並んで立っていた。

暗がりだったら、横からひょっこり妖怪が出てきそうだ。

 

「蛍火の杜へ」と「夏目友人帳」の世界観が重なる。

 

長い石段を登りきるとやっと拝殿がある。高い場所だけに空気が澄んでいて清々しい。

 

拝殿に初めましてのご挨拶をする。

 

神がいるとか波動だとか何かが視えるとかそんなものは何もわからないが、実際に足を運んでその場に立って感じた事が その人にとっての真実だと思う。

 

ある人が言っていたから自分もそう思わなくてはいけないという事は決してないと思う。

 

フィルターをかける事で自分の感性がくもってしまう。

 

こじんまりとした拝殿に官職さんや巫女さんの姿はなくひっそりとしていた。

賽銭箱の横におみくじとお守りがあり、代金を入れる箱がある程度。

 

 

たくさんの参拝者の方々がいらっしゃるので拝殿の写真は控えたが神社の由来などが書かれたものがあったので撮らせていただいた。

さらに拝殿の奥には岩穴があり、風の通り道になっているという。

急な山道を登るとその岩穴が現れる。 岩穴の中で手を合わせる人を何人か見かけると、古くから信仰された場なのかなと思う。

 

岩穴を通り抜け、登りきるとちょうど西日が差し、神々しい景色だった。

 

「蛍火の杜へ」を観た事でこの場所に来る事が出来て素直に良かったと思う。

 

ギンや妖怪たちに会える事はないけれど、鳥居をくぐり、木々に囲まれた中にいて自然を感じるこの瞬間、目には見えないものがそこにあるような そんな不思議な時間と空間だった。