サバイディーこんにちは

 

岩井宙です。

 

今日は2年間のまとめをしたいと思います。

 

かなり長文となる予定ですのでお時間がある際に読んでもらえれば幸いです。

 

主にJICAで行った最終報告会のパワポを簡単に書き起こしたいと思います。

 

まず僕は、この2年間「ボランティアはなにか」という1つの問いを常に持ちながら活動をしていました。

 

理由は、訓練が始まる前に見た、「クロスロード」という映画にあります。

 



この映画は青年海外協力隊でフィリピンに派遣される若者の活動と心情を描いた作品となっており、

 

その1シーンに

所長「君にとってボランティアとは何かね」

(主人公)「偽善です。結局自分のためなんです。助けたいとか教科書通りの回答しやがって」

羽村(樹と犬猿の仲)「そういう理屈をつけてる人ほど何もしないんじゃないですか」

 

というのがあります。

 

そして映画の後半、協力隊から帰国した主人公に向かって再び所長は問いかけます。

 

君にとってボランティアとは何かね?」

 

と。

 

僕はこのシーンがとても印象に残り、2年の間で自分なりに答えを見つけようと思い活動をしていました。

 

僕にとってのボランティアとは、という答えはこの記事の最後に書きたいと思います。

 

 

では始めにですが、簡単に自己紹介です。

 

岩井宙イワイソラ

大学院を休学して協力隊に参加していました。

派遣国はラオス

チャンパサック県パクセー市のパクセー教員養成校に配属されていました。

 

要請内容は

1.同僚教員が教員養成校で学生に対して行うエコヘルス教科授業に協力・助言する。

2.指導案の改善、実験教材の開発等の側面支援を行う。

3.プロジェクト主体となるラオス国立大学と密に連携を取りつつ、教員養成校での授業をモニタリング、評価し、全体の教材や指導要領の改訂につながるモニタリングシステムの立案・実施について支援する。

 

の3つです。

 

エコヘルスとは、エコ=ecosystem、ヘルス=health education

 

つまり、生態系と健康の繋がりを重視する教育です。

 

ラオスの国立大学と日本の研究者が2009年から共同で始め、

 

2016年から20年の5年間、JICAと大学提携を結び、大学院生を協力隊員として送り出しています。

 

他にも3都市に同じように隊員が入るので、チームエコヘルスは地方間の連携がとても強く、
 
1人では難しいことも、チームではできるかもしれないという特色もありました。

例えば全教員養成校の先生を呼んでの会議など。

 
報告会ではここから年表と気持ちの変化を発表したのですが、
 
図がないと説明もうまくできないのと、そんな重要でもないので省きます。
 
要約すると、

1年目は活動がうまくいかず、最初の半年は地獄のように暇できつかった、
 
2年目は活動も充実し、最後は満足して終えることができた、ということです。

 
辛い時にどう立ち直ったかというと、
 
前回ブログにも書きましたが、坂雲寮の日本語教室の力が大きく、
 
辛い時期にも授業があるということで、なんとか気持ちを保つことができました。

日本語教室に関する想いはそちらのブログを参照してください。

 
ただ日本語がうまくいってるから活動が勝手にうまくいくというわけではなく、
 
やっぱり活動は活動で課題に対処しないとどうにもなりませんでした。
 
僕の活動で最大の障壁となったのは、
 
授業がない、ということでした。
 
教師として派遣されたのに、そのアドバイスや改善する授業がそもそも開講されていない。
 
おはよー、今日授業あるの?というラオス人の何気ない一言で、かなり自分の存在意義を否定されている気になりました。
 
今日はないよ、と答える毎日。
 
あれは地獄でしたね。
 
仕事がない、というのはほんとに辛いものだとこの時学ぶことができました。

 
ただ、問題は誰かが指摘するから問題となるもので、
 

必ずしも指摘しないからといって問題がないわけではないかもしれません。

 

誰かの“解決された”は

他の誰かの“悪化した”かもしれないし、“新たに生じた”かもしれない。

 

問題を羅列することに、意味はあるのだろうか。


と考えたわけです。

 

とまあここまでは1年目に考えたことでしたが、やはり2年活動する中で、

 

ほんとうに問題だと思ったら、言い続けないと解決しない。

 

と感じました。

 

僕はもっと向こうから(ラオ人の方から)あれをやりたい、こうエコヘルスを広めていきたいんだ、という目標があるものだと思っていたのですが、

 

それはまったくなく、僕がやらないと始まらない、言い続けないと何もできないと実感しました。

 

授業がなく苦しい時も副校長先生などに相談し、なんとかカリキュラム上で授業を扱えないか言い続けました。

 

苦しい時には種をまく。

 

何かを始めれる時になって準備をはじめるのでは遅い。

 

常に始めれるように日頃から準備だけはしておくことが大切だと学びました。


 

色々2年間でできたことやできなかったことがあるのですが、

 

それを1つずつここに書くのはやめておきます。

 

 

じゃあ結局のところ僕は2年で何が成長できて、何を感じたのか。

 

1番は途上国に対する見方が変わったことだと思います。

 

先進国と途上国

 

援助する側とされる側

 

途上国は崖の下に位置し、先進国が崖の上から引っ張りあげる。

 

同じ立場に立って考えることは、これまでのバックグラウンド、習慣、思考、

 

そもそも人としてまったく同じ立場なんてありえないことだと思っていました。

 

ただ、この2年間を通して、

 

自らも崖の下にたつこと。

 

同じ目標や課題に向かい共に成し遂げる。

 

そういう視点が、そういう考え方が、少しはできるようになったと思います。


それはまだ僕の知識や経験が、上から引っ張りあげるには力不足だったのかもしれません。
 
ただ今の段階では、共に崖を上ることに、意義を感じるようになりました。
 
もう1つ。
 
2年間で大切だと思ったこと。
 
それは、ボランティアは1人ではできないということです。
 
僕はもっと何でも自分でできると思っていました。
 
もっとかっこよく、もっと効率的に何でもできる。
 
大学からエコヘルスのスタディーツアーも行き、大学院ではそれなりに勉強した。

やってやるぞ、と希望に満ち溢れていた時代。

ただ、いざ来てみると、やれることが何もない毎日。

ひたすら職員室に座り続ける日々。

あ、俺は一人では何もできない。

そう思いました。

それはボランティアだからでしょうか。

ラオスだからでしょうか。

教員養成校だからでしょうか。

決して一般化できるものではないと思いますが、

理想と現実のギャップに

熱意と出来ることのギャップに

押し潰されそうでした。

ただそんな時、

同僚のラオス人

エコヘルスチームのみんな

大学の先生

jicaの人たち

パクセーにいる日本人の人たち

ほんとに多くの人に支えられて、

乗り越えることができました。

人と人との繋がり

あまり社交的ではないので、人と関わるのってあまり得意ではなかったのですが、

今は色んな人と関わりたいと思うようになりました。

そしてこれは、ボランティアだけの話ではないと思います。

社会人となっても、驕らず、謙虚に、多くの人に支えれている、仕事は一人ではできないという気持ちを忘れずに生きていきたいです。


最後に、

「君にとってボランティアとは何かね?」


僕は、

“ボランティアとは、ソウゾウすること”

こう思います。

ソウゾウ=想像

最初から再度考えること。

ボランティアに、答えなんてないと思います。
何が正しいのか、何がいいのか、誰にもわからないと思います。

だからこそ、最初から再度考える。

行動したらどうなるのか、言ったらどうなるのか、どう思うのか、

行動する前から、言う前から、考える。

何がいいのか考え続けることだと思います。

そして、

ソウゾウ=創造

共に一歩を踏み出すこと。

考えるだけだったら、別に1人でもできます。

ただ、僕らは現地に入り、現地の人と共に生活している。

一歩を踏み出すこと、

それは0が1になるのではありません。

0が10になったり、0が100になる。

新しく共に始めること、それがボランティアだと思います。

1年目はソウゾウ=想像
2年目はソウゾウ=創造

最初から再度考え、共に一歩を踏み出す。

これが僕の2年間だったと思います。


ほんとに素晴らしい2年間でした。


書ききれないこともたくさんありました。

何気ない日々も、

刺激に溢れた日々も、

ラオスに行ったからこそ経験できました。

次は、

この経験を活かす。

青年海外協力隊としての岩井宙はこれで終わりですが、

人生はまだまだこれから。

どんな人生を歩んでも、後悔のないように。

頑張りたいと思います!!


ここまで読んでいただきありがとうございました。

大学院生×青年海外協力隊としてブログを書いてきましたが、

少しでも国際協力、ラオスに興味を持ってくれる人がいたら嬉しく思います。

ありがとうございました。


P.S.
あと1年は大学院に在籍します。
「理論なき実践は盲目であり、実践なき理論は空虚である」
イマヌエル・カント

しっかり学問も修めたいと思います。