蓮に秘密(本性)がバレてから、
翌朝から登校・下校は蓮とすることになった。
もちろん、自分の秘密(本性)が学園中にバラされないようにするため。
こんな複雑な事情を知らない学園の生徒たちとかは
「美男美女カップル」というようによんだりしてる。
(確かに私は美女だし、蓮は学園ナンバー1のイケメンでかなりモテるけど、
私たちはあくまで「偽」カップルよ?)
私は仕方ないので、蓮と2人きりのとき以外は仲よさそうにしてる。
(そのうち、こんなヤツ突き放してやるんだから!)


「はぁ~、カップルのフリするのって疲れるわぁ~」
「え?自分の本性を隠して外では『おしとやかな美少女』を演じてるほうが
 もっと疲れると思うけど?俺は。」
「あんまそのことを外で言わないで!」
「まぁまぁ、そう怒らないで」
「もういいわよ!・・・・・そのかわりそのたまご焼きちょうだい。」
「いいよ~♪ほら、あーん」
「それくらい自分で食べられるわよ!」
そう言うと、私は蓮の弁当箱からたまご焼きをとって食べた。
「もー、照れちゃって♪」
「照れてないわよ!」
蓮は金持ちのクセに、弁当は庶民的である。
でも、懐かしいような、温かい「何か」がある。
「この弁当は俺ん家のメイドが作ってるんだぜ」
「メイドっつったって、たくさんいるじゃん。」
「華奈ちゃんだよ。」
「誰?」
「俺ん家のメイド。俺の弁当をいつも作ってくれてる人。」
「へぇ~」
「ひょっとして、ヤキモチ?!」
「・・・違うし!」
「やっぱかわいー!次の女を華世にして良かったー!」
「もうお昼休み終わるし、帰るね!」
私はその場を逃げるように去っていった。


「ホント花園さんって美少女だよねぇ~」
「どーすればそんなかわいくなれるの?」
何度も聞きなれた言葉。
(そんな、私が美少女なのは知ってるわよ!)
でも、そんなこと言ったらイメージダウンの原因になる。
「えー、美少女なんて…そんなことないわ。何もしてないし」
「ウッソー、何もしてないの?うらやましいーッ」
「あっ、お迎えが来たからもう帰るわね。さようなら。」
車に乗るまではおしとやかな美少女を演じる。しかし、乗った途端…
「じい、いつものはぁ~?」
「はい、お嬢様。」
「ちょっと、いつものと違うじゃないのッ」
「お嬢様、昨夜体重のコトをきにしていらしたので、カロリーの低いものにしたのですが…」
「はーぁ、もういいわ。明日こそはいつものにしなさいよ」
「はい。」
目つきはいきなり上から目線になり、脚を組み、いかにも偉そう。
これが華世の本性である。
「明日はお見合いがあります。」
「え、誰と?イケメン?ブサメンは即拒否よっ?!」
「大丈夫ですよ、この写真をみてください。」
「あら、けっこーイケメンじゃん。楽しみね、明日が。」

「こんにちは。」
「ちゃーっす。」
「蓮、ちゃんと挨拶しなさい!もう、礼儀を知らなくてすみません。」
「いえ、大丈夫ですわ。」
そして、母たちは話し始めた。
すると、すぐに意気投合し、あっという間に仲良しになった。


「ちょっとぉ~じい~弁当妹のと間違ってるわよぉ~」
「すみません、お嬢様。」
「もー、早くしなさいよ!」
私はケータイをとじた。
「あー、どいつもこいつも…」
そのときの私の表情は上から目線の表情だった。
「あれぇ~この人が学園1の美少女なのぉ~?ワガママ女じゃん。」
「へっ?!」
ヤバい、私の本性を知られちゃった!どーしよ…
「え、演劇の練習よ!」
「は、お前料理部じゃん。ワガママ女。」
「ワガママ女じゃない!私は花園華世よッ!」
「華世っつーの、アンタ。俺は蓮。蓮ってよんで。華世。」
「慣れ慣れしく華世ってよばないで!」
「じゃぁ、ワガママ女。」
「もう、華世でいいわよ。」
「つかさ、さっきのがアンタの本性だろ?ワガママっつーのが。」
「え…まぁ、そうね。外では演じてるから。」
「なんか変だと思ったぜ。見合いのとき。」
「あっ、あのときの!」
「そう。んでさ、アンタの本性知られたくなかったら俺の女になってくれね?」
「は?!何言ってるの?!ならないわよっ!」
「じゃぁ、バラす。」
「それはだめ!わかったわよ!蓮の女になるから!」
「マジで?!」
すると蓮は華世を抱きしめた。
「やっ、やめてよ!」
「かぁわいーッ」
男に告られたことなら1000回くらいあるけど、抱きしめられるのははじめてだった。
(とにかく、秘密は知られちゃ困るわ。辛抱ね。)
そのときはそう思っていた。そのときは。
まさか本気で惚れるなんて、思ってもいなかった。
『強情プリンセス』

ヒロイン花園 華世 (18)

美羅珠学園1の美少女&モテコ。
学校ではおしとやかに振舞っているが、家では超ワガママで強情。
花園財閥会長の一人娘で、大金持ち。
ある日蓮に自分の本性を知られてしまう。

ヒーロー山野 蓮 (18)

美羅珠学園の男子生徒。
少し強引だが、実は優しい一面もある。
大手株式会社の御曹司。
ある日華世の本性を知ってしまう。

話が進んでいく度にだんだん登場人物が増えるかもしれないケド、
主な登場人物はこの二人ッ(・ω・)