三体の見知らぬ顔が見つめ合う

腕は無く、足もさっき無くなった。

大きな空間に浮かんでいるだけ。

誰も見ていない時は唯一、お互いを痛めつける事のできる至福の瞬間


みんなが寝る頃、全てから開放されると

狂気じみた声で、無い腕で本当に痛めつける。

誰もいない夜はいつもそう

誰もいない夜はきっとそうする

誰もいない夜??


世界は彼ら中心に回っており、他のものが何をしようが

ましてや目に見えないことに躍起になっても

彼らにとってみればただの笑い声


そうやって他者は気づかぬまま、呼吸を続け

そうやって、そのまま消えていく


一方彼らは、今日も、昨日もきっときっと明日も

今にもこちらに襲ってきそうな冷静さで

見つめあい、夜には見詰め合わず、痛めつける


そうやって、世界が変わっていっている事にも気づかずに。

たぶん、だめだと思う。

気持ちの問題ではなく、きっと確かな事実だ。

君と僕は何かが違うわけ。

そりゃ、まさかまさかの事件性がないとは言い切れないけど、絶対的だ。

どうしても、入らないよ。それは。

それは認められない。

男と女の違いみたいなもんだ。

それが、男の言い訳の下手な理由。

とりあえず、考えが定まらなく、何をしたかというと、ただただ歩くことだけに集中してみた。

するとどうだろう、にわかに雨と人の頭が降ってきた。