三体の見知らぬ顔が見つめ合う
腕は無く、足もさっき無くなった。
大きな空間に浮かんでいるだけ。
誰も見ていない時は唯一、お互いを痛めつける事のできる至福の瞬間
みんなが寝る頃、全てから開放されると
狂気じみた声で、無い腕で本当に痛めつける。
誰もいない夜はいつもそう
誰もいない夜はきっとそうする
誰もいない夜??
世界は彼ら中心に回っており、他のものが何をしようが
ましてや目に見えないことに躍起になっても
彼らにとってみればただの笑い声
そうやって他者は気づかぬまま、呼吸を続け
そうやって、そのまま消えていく
一方彼らは、今日も、昨日もきっときっと明日も
今にもこちらに襲ってきそうな冷静さで
見つめあい、夜には見詰め合わず、痛めつける
そうやって、世界が変わっていっている事にも気づかずに。