坪倉先生の今だから言える内輪話をご披露します。

4年前、2012年の今頃、

ベテランママの会は新学期をどこで迎えるか懊悩するお母さん達のために、

坪倉先生との「正しい放射能のお話し」と題して、

狂気の沙汰と思えるほどの回数を重ねて開催していた時期です。

開催すればするほど、私たちは本当に叩かれました。
坪倉先生はストレスで体調不良も起こしかけていました。
鬼の番場は、それを見て見ぬふりをして、ひどい日は午前中の診療が終わると、午後の部と夜の部まで設定してお話ししてもらっていました。

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もちろん会場設定は我々で、坪倉先生は謝金も交通費もなく、

しかも貧窮する我々に寄付までくださっての活動でした。

なぜそこまでするのか？と友人たちも案じてくれていましたが、

私たちは何かに取り付かれたように回数を重ねていきました。

そんなある日、南相馬市の出身で、東京在住のお嬢さんが四国の某県の男性と結婚式のお日にちまで決まっていたのに、
あちらのご両親の理解がなく、破談になった話を聞かされました。
震災時に福島に住んでいた訳でもなく、福島の出身というだけでの差別に
私たちベテランママの会は怒りに燃えました。

「そんな男と縁組できなくて、籍入れる前に別れて良かったわよ」

皆さんがそう仰いました。

私たちもそう思いましたが、一番幸せの絶頂期に、

あの大震災で、自分に非があるわけではなく、

突然離別を宣言された若い女性の気持ちを考えると、

娘を持つ身としては、怒りだけではなく、

無念な喪失感で胸が潰されそうでした。

そんな私たちに、坪倉先生は静かに言いました。
｢私たちにできることはささやかだけれど、こうして淡々とお話し会を継続していくことで誤解を解いていきましょう」と。

彼は福島の出身ではありません。
南相馬に縁故があるわけでもありません。
まして、あの頃は未だ20代の若さでした。

私は教育者として、彼のお育ちやご両親様を思いました。
どのようなご家庭で育てられたのかと、とても彼の生い立ちに興味を持ちました。

ただの東大理Ⅲ卒ではない・・・（いや、東大理Ⅲってすごいんですが・・・）

そんな何かを感じていました。

あの時のやり取りを思い返すたび、私は涙が溢れてきます。

彼に白羽の矢を立てて福島に送り込んで下さった上先生の眼力も凄いですが、期待以上に応えてくれた坪倉正治先生は神の子と思います。

私は、坪倉先生と出会えたことに感謝します。

坪倉先生を紹介してくださった上先生に感謝します。

上先生を紹介してくださった愛知県の翻訳家中山さんにも感謝します。

今だから言える4年前の今