30分ほど前に、隣の家の奥さんから電話があった。
昨夜、飼い犬(オス)が逝ってしまったという。
人間の年にすると100歳を越えた、まさに大往生だった。
火葬に行く前に、一度見ておくかと言われ、見に行った。
彼は、まるで今にも起き出しそうな穏やかな顔で、奥さんの腕に抱かれていた。
それでも、触れた彼の体は、やはり冷たかった。
もう二度と、その目が開くことはない。
もう二度と、フガフガと鼻先を近付け、甘えて来ることもない。背中を向けて『もっと撫でろ』と、催促してくることもない。散歩中に私の姿を見つけて、息を切らして駆け寄って来ることもない。
彼は逝ってしまった。
私は冷たくなった彼の頭を撫でながら、心で呟いた。
母ちゃん…アンタの相棒がそっちに行ったよ。
今頃あの世で一緒に走り回っているかな?
淋しい…淋しいなあ…