上司以上不倫未満

上司以上不倫未満

取引先の上司に恋をした。

会えるのは、1ヶ月にたったの1回。

1年で12回。

不倫未満でいい。

ただ。

あなたに会いたい。


「明日の休みは何をするの?」

そう聞かれたから。

「映画。」

そう答えた。


映画館に行くと言うと。

笑われた。

「家で観ればいいじゃん。笑」


うちには無いの。

旦那が超アナログ人間で。

普通のTVで映る地上波しか観れないの。

お金さえ払えば好きな物が見放題の、画期的なこの令和の時代に。

うちだけ、時代が昭和なの。


また笑われた。


リュージの家はNetflixもAmazonプライムも観れるらしい。

へぇ〜。

ナウいじゃん。


「【教場】が先週から公開なの。今観たいから観に行くんだよ。」

「俺も行きたいな。」

「ダメ。映画は1人で観たい。1人の世界で誰にも邪魔されず観たい。」

「ふ〜ん。」


そう。

映画館は1人で行きたい。

日差しを浴びながら駅まで歩いて。

電車の切符をドキドキしながら買って。

時間まで街をブラブラしながら流行をチェックして。

映画が始まれば、自分の世界で、映像を音響を台詞を音楽を、贅沢に独り占めしたい。

デパ地下で、ちょっと高級な惣菜を買ったりして。

カフェで優雅に余韻を楽しんだりして。


この一連の流れが、

映画館に行くという私なりの楽しみであり。

最高の興奮なの。


「だから、ゴメン。」

「さっき俺には『私がして欲しいって言ってんだから、早くキスすれよバカ!』みたいな事言って、『俺が行きたい』って言ったら、却下なの?おかしくない?笑」


あっ…。

痛たたたた。



わがままで。

独りよがりな。

そんな自分が今は好き。






ねぇ、リュージ。

あの子はやっぱりリュージが好きみたい。

あの子もリュージの車に乗ってるの?

ちょっと噂で聞いちゃった。



そんな事に嫉妬して。

キスマークを付けて欲しいなんて。

大人げない。

情けない。


ゴメンね、リュージ。

私、若いあの子に嫉妬した。

それが私のスイッチで。

キスマークの理由。

昨日の事は忘れて欲しい。



映画上映中。

後ろの席の老夫婦。

終始お喋りが止まらない。

まぁまぁ、それはいいとして。

エンドロールが流れてる中、御婆様の方が大きな声で。

「で、どの人がキムタクだったの?」

………………。

映画って本当にいい物ですね。笑笑笑



(写真は自分の座った席だけ消しました)