僕の仕事場にはネパール人がたくさんいる。数でいうと15人くらいいる。僕はその中で唯一の男性ネパール人(18歳)と面識がある。というか仕事仲間であり、よく缶コーヒーを一緒に飲む中である。彼の名前はビシヌーとしておこう。ちなみにネパールの人はみんなヒンドゥーの神様の名前をつけるらしい。
ビシヌーに缶コーヒーえおおごってやった。そのあと彼からも缶コーヒーをおごってもらった。おごりおごられの関係になっていきそのうち仲もよくなってきた。最近は僕のほうが彼におごる。何分年上だからやれ500円がないなどのことを僕にいってき彼は金銭を借りていくのである。きっちり返す時もあるが返さないときもある。
父と兄がネパールに行ったことがある。旅先で病気の男の子が話しかけてきて金を要求してきたらしい。父はやらなかったといった。それはそれが引き金となって旅先で金銭トラブルに巻き込まれないためであるからであった。旅先では別段変わったことはなかったが兄が帰り際に食した魚にあたり、ものすごい高熱と下痢になって帰ってきたことを憶えている。
そんなこんなでネパール人は日本人に金をたかるのに慣れているのではないかと思ったこともある。ネパール人からすれば日本円20000で一軒家がかえるのであるから。
ただ仕事場でうわさのあの人の話題になったときの話を聞くまではである。ビシヌーは缶コーヒーをおごってもらいそうになったが断ったのだという。彼からはもらいたくないのだと。その時僕は彼にとってのスペシャルな存在だということがはっきりした。
仕事場にいるネパール人はほぼほぼ全員が知り合いらしい。皆それぞれの家まで知っている。いわば共同体なのだ。ビシヌー君と話していてなんとなくわかったのがどことなく素朴な共同体として、人を見極めながらも付き合っていく姿勢というのがちゃんと見についているということが。
僕は彼に缶コーヒーをおごるのが億劫になったこともあった。が、なんとなーく今はそれくらいならいいかとも思っている次第である。なんせスペシャルな存在になれるのだから。
宮地 歩