「なぁ、、、あのさ、、
半年ってさ、、長ぇじゃん?」
ベッドに座りながら、自然と出てくる独り言。
それが届いて欲しい相手は、やっぱりあいつら。
困った時にはいつも頼ってしまう、写真の中の大切なあいつら。
うつ伏せで、顔を見せることのできない状態のままでいい。
そのまま話を聞いてくれるだけでいい。
それだけで、心が安らぐ気がした。
「半年もあればさ、、色んな事できんじゃん?
みんな成長して、性格や顔、趣味とか色々変わっていくしさ、、
思い出だって山ほど作れんじゃん、、?
だからさ、自分勝手に距離感感じてたんだよな、、。
『こうやって仲良くしてくれてるけど、
こいつらの中には、オレだけが知らない楽しい時間や苦しい時間がたくさんあって、
その分の絆があって、でもオレはその楽しかったり苦しかったりする時間は共有できなくて、
オレとの間にその分の絆はないんだなー。』って
そんな勝手な考えでさ、、人を傷つけちまったんだよな、、。
人を傷つけないと気づけない。
まだオレはその程度の人間なんだよな。
だからさ、それに気づかせてくれたんだから、しっかり恩返ししなきゃな。
オレにもさ、新たにそうやって思える仲間が出来たんだよ。
それだけ、言っときたかったんだ。
そーいや、お前らと最初にあった時はもっとひどかったよなー。」
本気でそう思ってるからこそ、少し苦笑いしながらじゃないと言えない本当の思い。
それを受け取ってくれたあいつらに、
手をかけ、顔を見ようとする。
「いや、やっぱりやめとくよ。
オレはまだなにも恩返し出来ていない、いわば何の役にも立ててないわけだ。
そんな状態でお前らと会うのは失礼だかんな。
でも、オレも完全に恩返しし終わるまで待てるほど出来た人間じゃない。
だからさ、少しでも、少しでも恩返し出来たかなって自信を持って思ったら、
その時は会いに行くよ。
だからさ、もう少し待ってくれよな。」
心に溜めていた思いを形にして、それを自分自身でもう一度確認した独り言。
独り言のはずなのに、
あいつらの返事が聞こえてきたがして、あいつらがオレを優しく包んでくれている気がして、
話して正解だったな
そんな思いが、オレの心に芽を出した。
翌日の朝、教室入った瞬間に賑やかに近づいてくるオレの大切な仲間。
「あっ闘起!おはよ!
じゃなくて、えっと、その、昨日はゴメン‼︎
私もちょっとイライラしてっ
「いいよいいよ。
ていうか、オレの方こそゴメンね。
昴希。
恋。
一人一人の目を見ながらしっかりと名前を呼ぶ。
オレの決意を固め、その固めた決意を伝えるために。
あっちゃん。
優子。」
5人の真っさらなスケッチブックに初めて描かれた絆。
その絆はみんなの思いによって、半年間4人のスケッチブックに描かれていた絆よりも、
半年間のブランクなんて感じさせないほどの固さ
を持っていると思えた。