「よっしゃ!決めましょうかー!」
今朝の出来事によって、オレ達のスケッチブックに新たに書かれた絆。
それは本当に固いもので、もう決して壊れない。
そう確信出来るほど充実した一日だった。
そしてこれから、、
「決めよ決めよっ!
体育大会の出場種目!」
体育大会。
その知らせが舞い込んだのは、朝礼の時だった。
もちろん、校内の5人でやるわけではない。
詳しい話はあまり知らないが、
この地域にあるうちと同じような事情を抱えた学校、うちも含めて5校でやるらしい。
開催は二週間後。
みなさんもうおわかりだと思うが、
みんなやる気満々だ。
特に優子なんか某M岡さんばりの熱さだ。
あの熱いで有名な某M岡さんとタメをはるくらいに熱い。
見てて面白いが、あと二週間あるぞ。笑
かくゆうオレも運動は好きだし、みんなへの恩返しへのきっかけになるかもしれないので、もちろんやる気はある。
「よし!じゃあどーやって決める?」
「えー私運動苦手だからちょっと気乗りしないなー、、、」
と、あっちゃん。
「そんなこと言わないでさ、その分私達がカバーするから安心してよ‼︎」
某M岡さんばりに熱い優子からのメッセージ。
こんなことをサラッと嫌味としてでなく言えてしまう。
なんと言うかすごく純粋で、うらやましかった。
確かに、体育でみてる分には
昴希、恋、優子は運動神経がとても良い。
しかも、自分で言うのもなんだがオレも運動神経はいい方。
3人は何かスポーツをやっていたのかな?
気にはなったが、過去のことというのもあり、聞くに聞けない。
それでも、世間一般の高校生と比べたら十分ハイレベルなチームだし、優勝も狙えるだろう。
それだけに、重視されるのは競技選択。
適材適所に人材を配置すればかなりのパワーを発揮できるが、運動神経がよくてもそのスポーツに対する適性が無ければ、もったいない事になってしまう。
言うならば、第一関門だろう。
競技は、100m走、110mハードル、1000m走、走り高跳び、走り幅跳びの5つ。
「まぁ、あっちゃんは簡単な競技にしてあげた方がええかもな。」
「ちょっと昴希それどーゆーことー?笑
まぁ、簡単な競技の方がいいけど、、、」
「ほら。簡単な競技の方がええやろ?」
「、、、うん。」
「ちょっと昴希調子乗りすぎー!ほんな偉そうに言うんだったら、昴希一番難しいのやってくれるんだよね~?」
若干凹み気味なあっちゃん。
そんなあっちゃんをフォローする優子。
あまりキツイとは言えないあっちゃんいじりに反応した優子。
やっぱり、優子に限らずここのメンバーは人間関係とかについては少し敏感なのだろう。
まぁ、悪いことではないと思うがな。
結果、話し合いは流れるように進み、
100m走に優子、
110mハードルに恋、
一番疲れる1000m走に昴希、
比較的楽な走り幅跳びにあっちゃん、
そしてオレは走り高跳び
という人選になった。
適材適所な人選だと思うし、オレ自身走り高跳びは好きな方なので満足だ。
みんなもオレと同じだろう。
「ちょっと待ってーな!1000mはキツイて!
1000mやで⁉︎10000cmやで⁉︎100000mmやで⁉︎
長いてー!それは長いて!」
ただ一人、必死に反論する昴希を除いては。笑
そんな昴希のことは微塵も気にせず、気合を入れる優子。
「よっしゃ!じゃあ二週間後までめーっちゃ練習して、絶対優勝するぞー!」
「おー!」
「ちょっと待ってくれって!ホンマ頼むで!」
賑やかなカフェを包む優しい夕日。
そんな、はるか彼方で沈みかけている夕日の光はとても優しくて、落ち着けて、この場所にはピッタリだ。
その光に見守られながらカフェを出る5人。
色んな思いがありつつも、その光は安心感をくれて、なんだかんだ幸先のいい新生活のスタートを思わせてくれた。