5年前、とある病院にて
2階の談話室でいつものように中村さんとコーラを飲みながら話をしていると、パジャマ姿の女の人が現れた。
見た感じ二十歳そこそこで、ここにいるんだからどこか悪いんだろうけど、どこにでもいるような今時の女の子だった。
中村さんとはもともと面識がある様子で、なにやら薬のことや他の入院患者さんのことを話し始めて、私はスマホを操作しながらなんとなくその話を聞いていた。
どうやら東京に彼氏がいて、今度お見舞いというか会いに来てくれるらしいことを話してて、それが明後日の土曜日だという。
二人とも歌が好きらしく、カラオケに行って歌を歌って、もちろん禁止されてるお酒を飲んでって計画してて、そのあと彼女のお母さんに紹介する段取りになってて、そのことでいつも喧嘩になってて困ってるという。
この子は大丈夫かなって心配になったけど、私とは関係ないので何も言うことはできず、ただただ黙ってその話を聞いていた。
いつもなのかはわからないけど、中村さんにコーラをおねだりして買ってもらって美味しそうに飲み始めた。
これが私と五十嵐さんとの出会いである。
その日もう一人の天使が舞い降りた。