○片山由美子選
島跨ぐ大橋秋の灯をつらね(和歌山市 曽根澄子)
色鳥の声にも色のありにけり(志木市 谷村康志)
ライン川見ゆる右岸の葡萄摘み(東京都 山口照男)

○西村和子選
雲曳い天女の如き小望月(和歌山県 奥田瞳)
赤蜻蛉夕日の溜まるひとところ (大阪府 芹澤由美)
抽斗(ひきだし)の恩師の手紙秋深し(水戸市 後藤重浩)

○井上康明選
甲斐に未だ本籍のあり山粧ふ(横浜市 斎藤山葉)
秋風や人工島に友を訪ひ(芦屋市 水越久哉)
海峡の天つつぬけに鷹柱(入間市 加藤嘉風)

○小川軽舟選
食堂の家族経営秋灯(葛城市 山本啓)
渡船より鯊釣り眺む五分間 (鎌倉市 高橋暢)
威し銃仰臥の胸にひびくなり (北九州市 宮上博文)