バスで、途中下車できない・・・川俣町 | 浪江のニガヨモギ

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福島第一原発から10キロにある実家を離れ…

たとえば、日本各地から東京に、高速バス来るとき

首都高が渋滞すると、時間が読めないので、

高速道路の路肩 または サービスエリアに降車上があって、

そこから電車で都心に向かう、というオプションはよく見かけますよね。




原発事故前、

福島県の沿岸部から、東京駅に向かう高速バスが、何本か(数社)ありました。

常磐道はガラガラだけど、首都高に入ると渋滞するので、

八潮のサービスエリアで途中下車し、

つくばEXに乗り換えて都内に向かうオプションが

当然ありました(全社とも)。



渋滞だと時間が読めないので、とても便利なサービス。

しかも、高速バスは、お財布が厳しい人にとって貴重な移動手段なので、

庶民に優しいサービスでした。

長距離バスって、そういうオプションが普通だと思っていたけど、

違っていました。

ガックシ。



原発事故による警戒区域に、最も近づける高速バス路線は

福島⇔南相馬線です

ここは、福島交通と、東北アクセスの二社が運行しています。

片道1200円という激安かつスムーズな路線なのですが

うーん、

東北アクセスの方が『途中下車一切禁止!』なのです。

『なんでよ?』と聞くと

『法律でそうきめられていて、その条件のもとに許可されているものですから・・・』

  (位置関係で言うと、たとえば

  名古屋⇔東京間のバスで東京に来るときに

  横浜で降りることはまかりならん!

  横浜に行きたい奴は

  いったん東京まで行って、電車で横浜へ戻りゃいいだろ!

  という感じです)



はは~ん、わかった。



バスやタクシーの世界では、

国土交通省の各地の運輸局がハンコつかないと営業できないのですが、

既存業者の既得権益を守るために、

新規参入や値下げの許可がなかなか出ないのです。



通行の安全とか、過当競争の防止とか、もっともそうな理由をつけて、

庶民に優しい新会社の参入や、値下げを認めない。

京都のMKタクシーが、安くてマナーもいいのに関東に入ってこれないのがいい例です
(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%A0%E3%82%B1%E3%82%A4_(%E3%82%BF%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%BC%E4%BC%9A%E7%A4%BE))

仮に許可を与えたとしても、

許可を無意味にするような条件を付けます。




福島⇔南相馬線に話を戻すと

競合他社の福島交通は

福島県内にバス路線を張り巡らせている独占企業なので

東北運輸局に顔が利きます。

それに対する東北アクセスのバスを、

途中下車自由にすると、

福島交通の短距離路線バスの客を横取りされてしまうので

福島交通と東北運輸局が裏で結託して、条件を付けさせたな・・・たぶん。



ちょっと前のように、バスの大事故があると

安全ばかりが強調されて、本質が見えなくなるのですが、



福島⇔南相馬線のような、特需の路線とか

上高地や尾瀬のような山奥の人気路線とかの場合
(しかも環境保全名目で自動車乗り入れ禁止のためバス利用強制)、

地元の独占企業と運輸局が結託して、(実質)独占許可を与えていることが多いです。

んで、利用者がバカ高い料金を払わされ

料金と反比例する低劣なサービスに閉口します。



平和な時なら我慢できるんですけどね、



被災地に帰る交通手段が少ない時に、

だから、一旦帰ったら、いろんな親戚に会おうとするときに

既得権益保護の為に、庶民がバカを見るのは、頭にきます。




多くの、政治家や役人の仕事もそうなのですが、

数万、数十万単位の、命や家が失われたのだから、

彼らも目が覚めて、少しは、公僕として仕事するのかなあと期待したのに

逆に、自分が属する組織の利権拡大に血眼ですからね、輪をかけて。



そんな一例でした。