【あなたの近所の山が、海外旅行と同じ "脳の薬" だった】
「リフレッシュには遠くへ行かなければ意味がない」——そう思い込んでいませんか?
正直に言うと、私自身も思いをしていました。
40代半ばを過ぎた頃から、仕事の疲れが週末だけでは取れなくなり、「どこか遠くへ行きたい」と思い続けながらも、時間もお金も気力も足りない——そんな毎日を過ごしていました。
そんな私が、片道1時間の低山に通い始めて気づいたことがあります。
実は、心理学と脳科学の研究が導き出した答えは、私たちの常識を覆すものでした。
大規模な海外旅行も、週末に訪れる身近な低山も、心と脳に与えるリラックス効果は本質的に同じだと気づいたんです。
その恩恵は、どれだけ遠くへ行ったかではなく、日常から「どう」離れるか——その体験の質にかかっています。
精神科医のサム・ザンド博士は「旅は回復力を高めるウェルネスの秘訣だ」と述べていますが、この恩恵は異国の地に限った話ではありません。
週末に電車で行ける山でも、あなたの脳は確かにリセットされます。
では、なぜ「距離」ではなく「体験」が重要なのか?分かりますか?
その科学的なメカニズムを、これから一緒に紐解いていきましょう。
精神科医のサム・ザンド博士サム・ザンド博士は、統合的メンタルヘルスケアに重点を置く精神科医であり、Better Uの最高医療責任者(CMO)でもあります。
学歴と専門分野
ザンド博士はジョンズ・ホプキンス大学で公衆衛生学の学位を取得し、精神医学の基礎を築きました。UNLV(ネバダ大学ラスベガス校)では、サイケデリック医療と神経刺激の指導も行っています。10年以上の臨床経験を持ち、精神医学、依存症からの回復、心理療法などの分野で活動しています。
【なぜ「近場」でも効果があるのか?——3つの科学的メカニズム】
「近所の山で本当にリフレッシュできるのか?」と疑問に思う方もいるかもしれません。
しかし、以下の3つの心理学的・神経科学的メカニズムが、その効果を裏付けています。
【頭の中の"グルグル思考"をリセットする】
仕事の悩みや人間関係のストレス——家にいると、ふとした瞬間にそのことばかり考えてしまう経験はありませんか?
私は、歳を重ねるたびに、そんな瞬間と考えてしまうことが多くなっています。
日曜の夜にソファで横になっていると、決まって月曜の会議のことが頭をよぎり、気がつけばスマホで仕事のメールを確認している——「…ちょっとだけ。」のつもりが、結局はどっぷり1時間以上確認をしてしまう。
そんな「オフにならない自分」にずっ~と悩んでいました。
心理療法士のアリソン・マックルロイ氏は、「慣れた環境を離れることで、凝り固まった思考パターンがリセットされる」と指摘します。
自宅や職場には、無意識にストレスを呼び起こす"きっかけ"が溢れています。
しかし、初めて歩く山道にはそのきっかけが存在しません。
だからこそ、脳は自然と落ち着きを取り戻すのです。
アリソン・マックルロイ氏は、
心理療法士(LMFT: Licensed Marriage and Family Therapist)であり、「ワイルドパス・セラピー(Wildpath Therapy)」に所属しています。
また、彼女は『社会不安のための必須戦略(Essential Strategies for Social Anxiety and The Self-Compassion Journal)』の著者でもあります。
彼女の専門分野には、旅が人々のレジリエンス(回復力)を高める効果や、感情面での変化を促す方法が含まれています。
マックルロイ氏は、旅が硬直した思考パターンを和らげ、神経系を再調整することで、不安を軽減し、視野を広げる効果があると述べています。
また、旅を通じて臨機応変な思考や自己信頼を育むことができると強調しています。
彼女のアプローチは、心理的な成長や適応力を促進するための新しい環境や経験の重要性を探求するものです
【脳が"若返りモード"に切り替わる】
私たちの脳は、日常の予測可能な環境ではエネルギー節約モードで動いています。
しかし、見慣れない風景、初めての山道に足を踏み入れた瞬間、脳は強制的に「学習モード」へと切り替わります。
ザンド博士によれば、この時、脳内では好奇心や記憶力に関わる「ドーパミン」と「アセチルコリン」が増加します。
さらに、新しい神経回路が活発に形成される「神経可塑性」が促進されます。
これはいわば、脳の若返りトレーニング。
実際、私が初めて違うルートで山を登った時のことを覚えています。
いつもの道とは違う景色、予想外の急坂、見たことのない野鳥——下山後、頭がスッキリ澄み渡る感覚があり、「これが脳のリセットか」と実感しました。
標高300mの低山であっても、初めて歩く道であれば十分にこの効果を得られるのです。
【「自分で乗り越えた」という自信が蘇る】
日々の仕事では、決められたルーティンをこなすことが多く、「自分で判断して行動した」という実感を得る機会は少ないのではないでしょうか?
私もそれほど多くはありません。あなたはどうでしょうか?
しかし登山では、天候の変化への対応、ルートの選択、自分のペース配分——すべてを自分で決め、自分の足で進みます。
ザンド氏はこれを「主体性の回復」と呼び、この小さな成功体験の積み重ねが、「自分は何とかやっていける」という自己信頼感を育むと説明しています。
私も、初めて雨の中を歩き通した日、「濡れても平気だった自分」に小さな誇りを感じたことを覚えています。
この「やり遂げた感覚」は、仕事での自信にも不思議とつながっていきました。
2.【海外旅行 vs 近所の低山——驚くほど似ている"心への効き目"】
理屈は分かったけれど、本当に近場の山で同じ効果が得られるのか?
そう感じたのではないでしょうか?それは、具体的なシーンで比較してみましょう。
| 心への効果 | 海外旅行での体験 | 近所の低山登山での体験 |
|---|---|---|
| 臨機応変な思考 | 言葉が通じない中で道を尋ね、目的地にたどり着く | 予期せぬ天候変化に対応し、安全なルートを選ぶ |
| 自己信頼感 | 異文化でのトラブルを自力で解決し、自信を得る | 自分の足で頂上まで登りきり、達成感を味わう |
| 精神的なリセット | 異国の市場の活気や寺院の静寂に心を委ねる | 緑と水のリズムに包まれ、副交感神経が活性化する |
| 新たな気づき | 異文化に触れ、人生観を見つめ直す | 静かな自然の中で思考が整理され、新しい発想が生まれる |
ご覧の通り、体験の「舞台」は異なっても、私たちの心と脳に起こる変化は驚くほど共通しています。
重要なのは「どこへ行くか」ではなく、「意図的に日常を離れ、五感で新しい環境を感じること」なのです。
3.【結論:今度の週末、近くの山へ行ってみませんか?】
ここまでお読みいただいた通り、リラックスと回復の本質は「距離」なんかはありません。
心理療法士のメラニー・ウィリアムズ氏は、これを単なる贅沢ではなく「神経生物学的な介入」と呼んでいます。
そして、この効果を最大化する秘訣は、ザンド博士が提唱する「消費より、存在を」という姿勢です。
忙しく観光地を回るのではなく、その場に「いる」こと。木々の香りを嗅ぎ、鳥の声を聞き、足元の土の感触を味わう。
それだけで、あなたの脳は確実にリセットされます。
かつての私のように「遠くへ行けない自分」に後ろめたさを感じているなら、伝えたいことがあります。
あなたの体と心をリセットしてくれる場所は、すぐそこにあります。
長期休暇も、高額な旅費も必要ありません。
自己成長とリフレッシュの機会は、電車で1時間の場所にあるかもしれません。
次の週末、まだ歩いたことのない近所の山に出かけてみてはいかがでしょうか。
その一歩が、遠い異国への旅と同じだけ、あなたの心と体を回復させる力を持っています。
メラニー・ウィリアムズ氏の経歴と専門性1. メラニー・ウィリアムズ(LCSW-C)
- 資格と役職: 認定臨床ソーシャルワーカー(LCSW-C)、行動健康管理者、心理療法士。
- 活動地域: メリーランド州を中心に、成人、子ども、家族に対する心理療法を提供。
- 専門分野:
不安症、うつ病、トラウマ、家族療法、グループ療法。
認知行動療法(CBT)やトラウマ治療に特化。
- 教育背景:
アマースト大学で心理学の学士号を取得。
メリーランド大学で臨床ソーシャルワークの修士号を取得。
- 活動理念:
「Demystifying Therapy(セラピーの神秘化を解く)」を掲げ、
心理療法をより身近で理解しやすいものにすることを目指している

















