色とりどりのイルミネーション
心を躍らせて、瞳を輝かせて眺める人たち
気づかないだろうけどね、
もう少し上を眺めれば、
イルミネーションが何億個あっても勝てないくらいの輝きを放つ星たちがいるはずなんだけどな。
本当に豊かになったのかな。
僕たちは。
食べるものも、住む家も、インターネットも、
仕事でさえも余る時代になったんだって。
冬の空は空気が澄んで、
星がとてもキレイに見えるんだぞって、
「寒いから嫌だ」と駄々をこねる僕を引っ張り出して、
死んだじいちゃんが連れてってくれた、夜の公園。
テレビで言ってたよ。
「アリゾナの星はキレイ。」
そうかな。
僕の知ってる日本の星空も、同じくらいキレイだったんだけどな。
「星よりもイルミネーションが好きだから、星空を捨てたのかと思ったよ。」
心の中でイヤミを言ってしまう自分に多少の嫌悪感を感じながら、
僕はじいちゃんに話しかけるんだ。
本当に豊かになったのかな。
僕たちは。
快適さを求めて、大切なものを知らず知らずのうちに捨ててしまってないかな。
僕は、何が出来るだろう。