『月夜とめがね』
小川未明 作
高橋和枝 絵
あすなろ書房
"日本のアンデルセン"と呼ばれた小川未明さんのやさしい月の光が照らす夜を描いたファンタジーです。
「町も、野も、いたるところ、緑の葉に包まれているころでありました。」
この書き出しだけで、もうやられちゃいました。
町の外れの町の夜、年をとって目も耳も衰えた一人暮らしのおばあさんの暮らし、家の外の風景。
そのどれもが静けさに満ちていて、そんな静けさがあるからこそ、おばあさんに起きたふたつの奇跡がポッと明るい輝きを放ちます。
高橋和枝さんの絵がこのお話にぴったりと合っていて、本を閉じたあとも静かな余韻が心に長く残るようです。