『モリのいる場所』
監督: 沖田修一
主演: 山崎努 樹木希林
2017年公開
《ストーリー》
日本画家の熊谷守一は94歳。もう30年も家から外に出ていない。
小さな庭とそこで生きている生き物を一日観察して過ごしている。
守一と76歳の妻、秀子が暮らしている家には、いつもたくさんの人が訪れてにぎやかだ。
人が来ても気を使うでもなく、時間を割くのでもなく、モリは自分のやりたいことだけをやりたいようにやるだけ。
午前中は庭で庭の生き物の観察をし、午後は昼寝、碁を秀子と楽しみ、夜は絵を描く。
モリはそうやって何十年も生き続けてきた。
なにも特別なことがおきないモリの日々を、美しい映像で描いた作品。
30年も家の中で…、「飽きないの?」と思ってしまいましたが、その時々で出会ったり気づいたりするのは、違う生き物、違う植物だから、守一さんにとっては小さな庭の風景はいつも新鮮で、飽くことがなかったのかもしれません。
また冒頭美術館で、昭和天皇と思われる人物が守一さんの絵を観て、「これは子どもが描いた絵か?」というようなことを質問されていたけれど、シートンのように、あるいは幼子のように、94歳になっても好奇心を失わない人だったのでしょう。
山崎努さんと樹木希林さんは、この映画が初共演ということですが、とてもそうとは思えないほど息がぴったり。52年連れ添った夫婦の空気のような関係を、ユーモラスに演じられています。
家の中で飼育されている小鳥たち、庭に生きる虫、魚、小動物、植物を映すカメラワークはとても美しくて詩的です。
年の終わりに、こんなふうに穏やかで優しい映画を観るのもいいものですね。
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予告編