一貫してモノづくりの「ストーリー」の大切さをお話していますが、そのストーリーの伝え方も大切です。努力して栽培し、加工し作り上げた商品をどのようにして販売するか、FCP商談会シート等を活用してバイヤーとの商談会(マッチング)でのトークをどのように進めていくか、事前に準備して対応してほしいものです。
バイヤーや消費者が何を望んでいるのか、自園の強みは何か、それがバイヤーや消費者の要望にマッチしているのか、どのようにバイヤーを口説けばよいのか、そこには工夫が必要です。
商談会で「おいしいからまず試食してください」とほとんどの農家の方がバイヤーに語り掛けます。絶対食感ではないですが、バイヤーは全国のおいしい商品をすでに試食し自分の担当する売場で販売をしています。ライバル商品を試食し自信をもって商談会に臨まれる農家の方もいますが、ライバルよりもおいしいと言いながらその味に疑問符が付く商品もなんと多いことでしょうか。
バイヤーを「洗脳」するためにもまず試食前に、せっかくの日ごろの努力をうまく伝える必要があります。例えばどのような環境でどのような水を使い、どのような栽培方法でここまで育ててきたのか、簡単に伝えることができるでしょうか。その中でバイヤーがどのようなキーワードに食らいついてきているのか、農家の方で一方的にしゃべる方がいますが、相手は何を知りどこに興味を持ってくれそうなのか、話すよりも質問形式で相手のニーズを知る必要があります。
「棚田の山の上のほうで水はよいし薬も使う必要はありませんが、栽培が大変です」などと投げかけながら、相手の反応を見るわけです。栽培の苦労にどのような反応を見せてくれるのか、むしろそうしたストーリーに乗ってくれるバイヤーほど脈があると思われます。
商談会での対応だけでなく、終わってからバイヤーは農家の方がどのようなモノづくりを実際に行われているのかHPやチラシ、パンフレットなどをしっかり見たり見直したりします。仕入れをしたければ、圃場を訪問もするでしょう。商談会の際、気を付けてほしいのは、バイヤーや消費者目線でモノづくりの努力がうたわれているかということです。商品説明だけで、それまでの努力のストーリーが語られていないチラシやHPのなんと多いことでしょうか。
特に企業の方に重要なのは、「ストーリー」を語るとき、企業努力のデータや実験結果などを示すとさらに「ストーリー」に重みが付くということです。農商工連携などで産学官連携なども重視されるのは、開発などのプロセスで、いろいろな実験を行いそのデータを生かして次の栽培などに活かし、おいしく新鮮な農産物の栽培に努力されている姿が非常に分かりやすく、説得力につながるからです。個人農家でも同様ですが、長い歴史や受賞歴なども、どのような受賞内容であれ情報発信をし、認められた努力を知ってもらう必要があります。
FCPシートの書き方の項でお話ししますが、情報発信のためのいろいろなツールがあります。それらFCPシート、チラシ、パンフレットなどの紙媒体など全ての中で一貫した「ストーリー」が語られているか、またHPやフェースブック、ブログなどで同様に語られているか、特に現在はインスタの写真で今をうまく伝えているか見直していただきたいと思います。
実は、バイヤーにとって苦手なのはブログやフェースブックです。なぜでしょうか。農家の方はその時その時の思いを書きたくなり、また話したくなって出来事を書き綴っていくわけですが、バイヤーはその過程を読み探していくよりも、瞬時に農家の思いを知りたいのです。どのような考えに基づいて、どのような環境でどのような野菜や果物など、どのような栽培をされているのか。いわゆる5W1Hをすぐに知りたいのです。知りたいことがどこにあるのか悠長に探す時間はありません。HP上で的確に「ストーリー」を語っていただきたいもの、その「ストーリー」がそれぞれ伝えたいこととして、ページネーションと言いますが、各ページの組み立てにできているかにつながるのです。HPがなぜビジネスには必要なのか、再度理解を深めていただき、見直しをしてほしいものです。