こんにちは。

 

 

渡邉希久子です。

 

 

 

茨木のり子さんという大好きな詩人がいます。

 

 

大人であるのにオロオロしてしまったり

 

やらかしてしまったな。恥ずかしいな。

 

と思うとき

 

あるいは、ひとり心が痛くなったとき

 

この詩を思い出しています。

 

 

 

ただ、その敏感なアンテナは

 

その弱さと表裏一体に

 

初々しく繊細な世界に触れられる術なのでしょう。

 

 

 

 

 

汲む ―Y・Yに―   茨木のり子

大人になるというのは
すれっからしになるということだと
思い込んでいた少女の頃
立居振舞の美しい
発音の正確な
素敵な女の人と会いました
そのひとは私の背のびを見すかしたように
なにげない話に言いました

初々しさが大切なの
人に対しても世の中に対しても
人を人とも思わなくなったとき
堕落が始まるのね 堕ちてゆくのを
隠そうとしても 隠せなくなった人を何人も見ました

私はどきんとし
そして深く悟りました

大人になってもどぎまぎしたっていいんだな
ぎこちない挨拶 醜く赤くなる
失語症 なめらかでないしぐさ
子どもの悪態にさえ傷ついてしまう
頼りない生牡蠣のような感受性
それらを鍛える必要は少しもなかったのだな
年老いても咲きたての薔薇 柔らかく
外にむかってひらかれるのこそ難しい
あらゆる仕事
すべてのいい仕事の核には
震える弱いアンテナが隠されている きっと……
わたくしもかつてのあの人と同じぐらいの年になりました
たちかえり
今もときどきその意味を
ひっそり汲むことがあるのです

 

 

 

 

 

 

 


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絵や絵本は子供だけでなく
大人が本来の輝きを取り戻せる
セラピーだと考えています。


絵や絵本を通じての
癒しの効果や自己啓発を
お伝えできたらと考え
活動しています。
 

また現在、ライフワークとして

宮沢賢治の「双子の星」の朗読絵本と
大人のための自己啓発絵本を
制作しています。