連載も今回が最終回になる。「志リーダーシップ」「ゆさぶり力」「巻き込み対話力」という3つの上司力を、20代のうちから磨き続けてほしいという想いで書かせていただいた。なぜこのような連載を書きたかったかというと「管理職になりたくない」と考える若手社員が増えていることへの問題意識があったからだ。
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「管理職になってもいいことはない」と考える若手社員には、何を目指して仕事をすればいいのか分からず方向性を見失っている人が多い。そうすると、結局は成長しない状態に陥り、現状維持のままではこれからの激動の時代の荒波に飲み込まれてしまう。激動の世の中においても荒波に飲み込まれることなく、自分らしく楽しみながら社会人生活を送ることができる人が1人でも多く増えてほしい。
若手社員の中には、管理職は辛いものと思っている人も多いが、本来、管理職は面白い仕事である。最終回は、これからの上司の楽しみ方について考えてみる。
●マネジメントを楽しむ極意
企業研修の仕事を通じて、多くの課長に会う機会がある。マネジメントを楽しんでいる人もいれば、マネジメントに苦しんでいる人もいる。その違いは、明確だ。思い通りにマネジメントができている人は仕事を楽しんでいるし、思い通りにできていない人は、マネジメントに苦しんでいる。
結局、マネジメントを楽しむ極意とは、思い通りに仕事を進めることに他ならない。自分の思い通りに仕事を進めることができれば、楽しむことができるのである。自分の思い通りに仕事を進めるポイントを、3つの極意としてまとめてみた。既に管理職の人は、すぐに実践していただきたいし、まだ管理職になっていない人は、管理職になる前に実践して習慣化していただきたい。
極意その1:自分事にする範囲を広げよ
1つ目の極意は、自分が影響を与えることができると捉えている範囲を広げることである。自分に与えられた管理業務やプレーヤーとしての仕事のみ影響を与えることができる範囲として捉えている人と、会社の方針や部の方針に対しても自分が影響を与えることができると捉えている人では、思い通りにできる範囲が変わってくる。実際には、会社の方針や部の方針に対してどの程度、影響を与えることができるかは分からない。
しかしながら、最初から「影響を与えることは無理だ」と考える人は、自分の想いを押し殺し、何も行動を起こさない。例えば、会社の方針が「おかしい」と思っても、何も意見を言わない人は、その思いと行動が一致しない状態が続くことになる。これは、思い通りに仕事を進めることができていない状態だ。影響を与えることができると捉えている範囲が広い人は、行動を起こすことによって、徐々に影響を与えることができる内容が増えていく。
そうすることで、多くのことが思い通りにいくようになるのである。自分事にする範囲は、自分―他者―自部署―他部署―会社全体―日本市場―世界市場と広げることができる。
極意その2:不要な仕事を捨てよ
2つ目の極意は、実施しなくてもいい仕事を捨てることである。思い通りに仕事が進まない原因の1つに、仕事の量が多すぎて時間に追われているということが挙げられる。日々のトラブルシューティングに追われているような状況では、思い通りに仕事を進めるなんて不可能である。優先順位をつけて仕事をするだけでも不十分だ。大切なことは劣後順位をつけることである。つまり、やらないことを決めるということだ。
一流の経営者やマネジャーの中には、飲み会の二次会に行くことをやめたとか、お酒を飲むことをやめたといったように、やらないことを決めた人が多い。マネジメントにおいても無駄な会議をやめたり、書類の作成をやめてしまったりしても成果が落ちないことは多い。むしろ、成果が上がることもある。劣後順位をつけるためには、明確な目的意識が必要である。例えば、業績と部下育成という2つの目的意識を持つならば、この2つに関係のない仕事をどんどん捨てるべきである。
極意その3:自分の人生を生きることを決めよ
3つ目の極意は、自分の人生を、自分がコントロールして生きることを決めることである。GEの元CEOのジャック・ウェルチは「Control your destiny, or someone else will.(自分の運命は自分でコントロールすべきだ。さもないと、誰かにコントロールされてしまう)」という言葉を残している。
「組織や人にコントロールされる人生なんてまっぴらだ。自分の人生は自分でコントロールしたい」と決めた瞬間に、人生が変わる。それは会社を辞めるということではない。組織にいながらにしても、全ての選択は自己責任のもとで行っている事実を受け入れることに他ならない。自分の人生を生きることを決めている人は、目の輝きが違う。研修においても、2日間の研修であっても、初日の朝と2日目の終了時で、全く目の輝きが違う人がいる。その人は2日間の研修の中で、何かを決めた人である。決めることから、その後の人生が変わりだすのだ。
●第一線に居続けるという面白さ
「管理職になると責任が増えて、辛いだけでは?」と聞かれることがある。確かにそのような見方もあるだろう。しかしながら、役職が上がるほど影響を与える範囲が広がることも意味する。私自身、約3年半前に社長という立場になり、確かに責任の範囲が大きくなり、プレッシャーは大きくなった。ただ、今、仕事を面白いと思えているのは、自分が世の中や会社に貢献していることを実感できているからである。
現在所属しているシェイクという会社が3人であった時、当時のメンバーと会社を大きくすべきかどうかを話し合った。組織を大きくすれば、マネジメントなどに苦労することも多くなる中で、本当に組織を拡大する必要があるのか、真剣に悩んだときがあった。その時に出したのは「本当にやりたいことであるならば、その影響力を大きくしたいというのは自然なこと。自分たちが、世の中に貢献するために仕事をするならば、組織を大きくすべきだ」という結論だ。
確かに、人の上に立つということは責任が伴う。ただ、それだけ人と一緒に大きなことに挑戦する喜びを感じることもできる。うまくいかないこともある。ただ、山あり谷ありで、喜びや悲しみもある彩豊かな人生は楽しい。
上司力を磨き、楽しむ極意を実践し、自分の人生をコントロールし、周囲の人がついてくる状態になったならば、職場の第一線で思い通りに思いっ切り仕事ができる。社会や周囲に対して貢献することができる。それはこの上ない喜びである。第一線に立つということは辛いことではない。楽しいものである。楽しむためにも、楽しむことができる自分づくりをすることが何よりも重要なのだ。
●成長し続けるミドルを目指して
ドラッカーの言葉に「変化はコントロールできない。できることは、先頭に立つことだけである」という言葉がある。変化が激しい世の中において、楽しみ続けるためには、自らも成長し続け、変化の先頭に立つことが求められる。
8月29日に改正高年齢者雇用安定法が成立し、60歳を超えても働く意欲のある従業員の継続雇用が義務付けられることになった。近い将来、70歳まで延長される日もくるのではないだろうか? 22歳で働き始めたとするならば、50歳でもまだ社会人生活の半分を少し過ぎた時点に過ぎない。これまで20年間の変化を考えた時、20年後の世の中においてもその時代において楽しむことができる自分に成長していることが必要である。50歳になっても60歳になっても成長し続けることが、人生を楽しむポイントであると思う。
成長こそが最大の自己防衛であり、人生を最大限に楽しむポイントなのだ。
松下幸之助の「水道哲学」をご存じだろうか? 簡単にいえば「誰もがただに近い感覚で水道水を享受できるのと同じように、誰もが安価に電化製品を享受できる世の中にしたい」といった考えである。
私は次のように考えている。「誰もが、イキイキと生きる権利を持って生まれてきている。全ての人がイキイキと生きるという権利を享受できる世の中にしたい」と。
組織とは、結局は人の集まりでしかない。組織に閉そく感があるのではない。組織で働く人に閉そく感があるのだ。一人ひとりがイキイキすれば、組織も活性化していく。
同様に日本という国においても、一人ひとりの国民の集団である。一人ひとりが元気になることで、日本も元気になっていく。今回の連載が、皆さんが自分らしい人生を送るヒントになれば幸いである。
[吉田実,Business Media 誠]
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