『舞さんが幸せそうに食べてる顔見れて俺は満足です』
「りょうたの料理を食べたら誰だって幸せな気持ちになるよ」
『お褒め頂き光栄でございます』笑
「食器は私が洗うね」
『いいよ、座ってて』
「そのくらいはさせて」
お願いするような顔で見つめた。
『じゃあ、一緒に洗う?』
りょうたと2人並んで “洗う人、濯ぐ人” の流れ作業が始まる
「あのさ、りょうたこの前Aさんに告白されたでしょ」
『知ってたの?」
「昨日ね、言われたの....Aさんに」
『何を?』
「宮舘さんを解放してあげてくださいって」
『え! で、舞さんは何て答えたの?』
「解放も何も、占領もしてませんって」
...涼太と目が合う
『で?』
「ムッとされた」
『怒らせちゃったの』笑
「そうみたい。私にその気が無いのなら早く諦めさせてあげてください、可哀想です。って...」
『ふ〜ん』
「何も伝えられてないのに
"私のことは期待しないで諦めて”
って言うの? それって変じゃないって言ったら
プイッとして行っちゃった」
『あーあ、怒らせちゃった』
「誰の所為だと思ってんの...」
『俺の所為?』
「んー、それは違うか」
『だね』
『俺は舞さんが諦めろって言っても諦めませんから』
涼太の言葉に困惑する.........
ちょっと思考回路が鈍くなる
「私はりょうたに何を諦めさせるの? 主語が…ないよ」
『言ってもいいんですか?』
「言ってもいいとか、悪いとか私が決めることじゃないかな
でも…なんか今のは言い方が悪かったね
催促したみたいに聞こえたならごめんなさい」
こんな話しをしているうちに洗い物が終わってしまった。
「さてと」
帰り支度を始めようとすると
『え、もう帰るの?』
慌てて引き止められる。
「まだいて欲しい?」
『食後のコーヒーもご用意させてください』