空港でレンタカーを返してると舞さんからのLINE。
「今どこ?」
『空港だよ』
「ね、りょうたの家の方パンは好きかしら?」
『うん、好きだよ』
「じゃぁ持ってくから」
『持ってく?』
そこから返信ナシ、既読もナシ。
お土産を買って、手荷物を預け終わった頃に再び舞さんから LINE。
「どこにいる?」
『保安検査の手前だよ』
「そこ行くから動かないで!」
少しして舞さんが息を切らしながらやってきた。
『一旦落ち着こうか』
「...はあ...はあ...はあ......これ」
そう言って袋を差し出した
「パンストックのめんたいフランス」
『もしかして朝から並んだの?」
「うん。観光してたら行けないかな....と思って..
『ありがとう』
受け取って後ろにいる家族に知らせた。
舞さんが呼吸を整えて姿勢を正す
『えっと、こちら会社でお世話になってる松本舞さん』
「初めまして、松本です。
ご家族水入らずのところ、差し出がましくすみません。
お土産、お口に合うかわかりませんが、お渡ししたくて」
妹が袋のロゴを見て「パンストック!!」と喜んでいる。
「ママ、これすっごく美味しいって言われてる有名なやつだよ」
母「涼太がいつもお世話になってます、涼太の母です。
わざわざお土産ありがとうございます。
無愛想な子ですけど、悪い男じゃないんで、これからもよろしくお願いします」
舞「え、いえいえ、無愛想だなんて、気遣いのある優しい方です。
きっと大切に育てられたんだろうなって
涼太さんを見てたらそう感じます。
不慣れな土地で不便なこともあるでしょうから、
私で役に立つことがあれば力になりたいと思ってます」
ペコリと頭を下げる。
母「それを聞いて安心しました。
どうぞ、涼太をよろしくお願いします」
『何回お願いしてんだよ』
とツッコんだら母にキッ!と睨まれた。
舞「ご家族の大事な時間にお邪魔してすみませんでした。
私はこれで失礼させていただきます」
父と妹達にも会釈をして帰ろうとしてる。
母が肘で突っついてきたもんだから慌てて
『舞さん、あのー、この後よかったら送ってもらえませんか?』
と伝えると頷いた舞さんからOKサインが返ってきた。
母「デレデレすんな!」
隣で母がしっかりしろと言わんばかりの表情をして
「よかった、よかった」
と父さんが頷いてる。
妹はというと...
関心ないようだ。
家族を見送り終えると舞さんの元へと向かった。