チクチクする痛みとさよならしたいなら
来なきゃいいのにやっぱりここへ来てしまう。


でも、放課後は来なくなった。


櫻井クンと一緒に帰るから。




今日もコンビニのパンを頬張る先生がいる。



『櫻井と付き合うことにしたんだ』


モグモグさせながら言う。




「お試しなの」


『お試しって?』


「いつでもクーリングオフしていいから、試しで付き合って欲しいって、、、」



『なるほどね。』


コーヒーをグビグビ飲んでからこっちを見た。




『で、どお?』



「どお?って??」



『試してんでしょ?』



「試すって、、、。

ヒドイよね?


優しくされて、甘えて、、


でも、苦しいってワガママかな?」




『苦しいんだ?

優しくされて。

ワガママとは思わないけど、

あんま期待持たせんな、櫻井に』






返す言葉がなくて黙りこんだ。

沈黙の時間が流れる。






「先生、付いてる。ココ。」


自分の口の端にに指を当ててマヨがついてることを教える。



『ん?  どこ?  取ってよ。』



え? 





先生が顔を前に出す。




え?



ええー??






戸惑ってると





『早く取って!』




急かされた。






マジか!





「はい、取れたよ。」




先生の口、


いや、正確には口の端で唇ではないけれど、





触れた指がドキドキしてる?





指がドキドキって変?



でも、全神経が指先に集中して震えそうだった。






『うん、ありがと。』



そう言うと先生は立ち上がって職員室に戻って行った。