智を起こさないように、TVのボリュームを下げて1人でDVDの続きを見てた。
『泣いてるんでしょ!』
急に後ろから声がして体がビクッとなる。
起きてたの! びっくりさせないでよ~。
心の声はそのままに
「泣いてないよ」
前を向いたまま返事をした。
『ほぅ~ら、もう鼻声になってんじゃん』
そう言ってクスッと笑ってるのが気配で伝わる。
お見通しだよ! みたいな言われ方にムキになって
「泣いてないもん!」
とういと、
『じゃぁ、こっち見てよ』
と肩をつかまれた。
振り向けないでいる私に
意地っ張りだなぁって笑って私の体を反転させた。
『ほら、泣いてる。 あなたがこういう系のやつ見て泣かないわけがないでしょ。』
そう言って、涙を拭ってくれる。
私が泣くと決まって 『大丈夫だよ』 って言葉のかわりなのかな? そっとキスをくれる。
そのキスはそれ以上でもそれ以下でもない。
智の優しさなのだと思う。
要するに 涙を拭う手と同じ。
智に優しくされるのが心地いいから私もそれを受けいれる。
いつもは隣に座っていて何気なく触れてくるけど
今日はソファの上から
『こっちにおいでよ』
智が布団を広げて私を呼ぶ。
一瞬躊躇したけど、優しくしてもらいたくて素直に潜りこんだ。
「狭いよー」
笑いながらも抱きしめてもらう腕に安心してる
軽く智の唇が私の唇に触れ、離れた。
そのまま髪を撫でてくれる手が心地よくて、、、
そこから記憶が無い。
そのまま眠ってしまったらしい。
目が覚めると、日付けが変わってた。
あれ? 智は、、、、?
キョロキョロしてるとタオルで頭をガシガシ拭きながら
『起きた?』
って智が戻ってきた。