人生には、経験しなくてもいいことがいくつかあって、
泥棒
風俗
不治の病
‥伴侶の死

そういうことに立ちあってしまうのはとても悲しいことだと
そんなようなことをよしもとばななが書いてた気がする


父は5年前に60歳で死に、
兄も、弟も、私も
それぞれこの5年間を精一杯過ごしてきた。

私は友達が少ないうえに、内気で自分から友達を誘うことができず、
大人になっても休みの日に父親と動物園や遊園地に行くのはけっこう普通で
父の上に寝そべっていたり
うざったらしいと言われていたくらい近くにいたので、とてもさみしく、思えば妊娠するまでこの5年間、お酒を飲んで泣いてばかりいたんだけど


母は57のときに人生の伴侶を失ったことになる。
死んだとき、まず書類との格闘があった。
死亡届はいくつコピーしにいったかわからない。
ついで自営業だった父だから、方々への個別の連絡。
何回死んだといえばいいのかと苦しくなったのを覚えている
事務所をたたむ作業だって大がかりで、何ヵ月もかかって、協力してくれた人たちにお礼やら何やら

お葬式を、交友があった支部の方々に任せたらかなり高くついて、どんどんお金が出ていった。
保険金が入っただろうと営業の電話がいろいろきたけど、
自営業だったし保険もガンとか事故しか入ってなかったからお金は一銭も入ってこないのに。
どこから嗅ぎ付けてくるのか、連日ベルが鳴った。

保険の解約やら何やら手続きに終われる毎日で、
家では絶対誰かが泣いてたし、リビングは書類の山だった。


書類の山が片付いたあと、ようやく父の死が実感としてふってきた、と
落ち着いて悲しめるようになっきたと母が笑いながら泣いていた。


まだまだ手のかかる弟と、
夢を追いかけてる兄と
飲んべえになってしまった私の
シングルマザーになってしまって、

よくわからないと言い続けてた保険も
学費もマンションのことも
全部自分のみに押しかかってきたという
実務的な苦しみと

頼れるパートナーがいなくなってしまったということと

愛していた人ともう会えなくなってしまったということ

母には大きな苦しみが3つ、押し寄せてるんだと思う

映画で、パートナーを失った主人公が、
朝方パートナーの寝ていたベッドを触っているシーンをみて、
母の悲しみはすごくすごく大きいもので、
まだまだまだ癒えなくて
今も苦しいのかなと想像してしまった


パートナーを失うというのは、ものすごいことだと思う。


私が麒麟さんを失ったら‥?

ぽっかり空いた麒麟さんのベッドを撫でて‥

この2ヶ月で、想像だけでこんなに悲しいんだから
30年以上連れ添ったお母さんはどんなに辛かっただろう

お父さんはお母さんが大好きで、
お母さんが帰ると、嬉しそうに絶対玄関まで迎えに行ってたし
ふざけておどけたり、
新婚みたいだねとか嬉しがってたり

ものすごく母を愛してた
毎日愛をくれる父を失うさみしさは
一人で暮らすさみしさは耐え難いんじゃないか


人が一人死ぬということはすごく大きいことだ
簡単に死にたいとか私は言うけど
ほんとにバカだと思う

できるだけ家族を悲しませないで
大切にしたいと思う