2013/3/1(金)
朝日新聞朝刊
首都だから頂点へ
首都・東京から今季は2チームがJリーグに参戦する。
J1のFC東京は初優勝を目指す。
チームの軸で日本代表のMF 高橋秀人(25)とGKの権田修一(23)の2人に、今季への思いを語り合ってもらった。
J2では、東京ヴが6季ぶりのJ1復帰に挑む。
FC東京、J1初V狙う。
ー 権田選手はチームの守護神。
高橋選手は中盤の要。
互いのプレーを、どう観ているか。
権田:ヒデ(高橋)は客観的に試合展開を読める。「ここを突破されたら危機を招く。」「ここで球を奪えば好機になる。」という勝負所に現れて相手を潰すのは、だいたいヒデだから。
ボランチでピッチの真ん中にいるのに、最後尾にいるGKの僕より試合全体が見えているみたい。試合中、「次はどうすればいい?」と相談される事もあるけど、たぶん、ヒデの中では確固たる考えがあってそれを確認する意味で聞いて来るのだと思う。
高橋:ゴンちゃん(権田)はフィールドプレーヤーへの指示が上手。その選手の調子やチーム状況、試合の流れを見極め、適切な言い方、内容で要求してくる。
技術的には、シュートを防ぐ時、ジャンプすると空中で一瞬、体が止まる。
胸が伸び、肩が伸び、ひじが伸び、手首が伸び、指先まで伸びて、ふわっとなる。体幹をうまく使いながら跳んでいるからだと思う。だから、神がかり的なセーブも可能になる。
権田:「ふわっと」という感覚は、外から見てもわかる?
それは、自分の中でも一つの指標。
「今日は体が浮いているな」という時は調子がいいから。ヒデも僕も、体幹とか体の構造を勉強するのが好きだからわそういうところに気づくのかな。
ー首都・東京で唯一のJ1チーム。使命感は?
権田:育成組織からずっとFC東京にいるのでそう感じるのかもしれないけど、首都のチームは、その国のリーグの中心でなくてはいけない。欧州ならどの国でも、首都のチームが強くて、多くのお客さんがスタジアムに入る。
高橋: ゴンちゃんの持論なのだけど、FC東京は観客動員数だけ見れば多い(昨季のホーム観客数は1試合平均約2万4千人でJ1の3位)。
ただ、ホームタウンの人口に占める観客数の比率は盛り上がっている地方のチームよりも低い。東京には様々な娯楽があるから。だから、みなさんが休日に外出する時、FC東京を応援しに行こうと思ってもらえるだけの価値のある選手たちでつくり出す必要があると。
権田: ただ優勝争いをするだけでは、たぶん、ホームの味の素スタジアムは満員にならない。
結果も内容も追い求め、魅力的なサッカーをして優勝を争わなければ。
ー日本代表で、権田選手は控えのGK。高橋選手が担うボランチには、主将の長谷部(独・ウォルフスブルク)、遠藤(ガ大阪)という不動のコンビがいる。代表での立ち位置も含め今季をどんなシーズンにしたいか?
高橋: 得点に絡むプレー、ゴールとアシストにこだわりたい。
自分がFC東京の中心、自分で試合を決めるという強い意識を持ってJリーグで戦いたい。
もっと自分の存在感を高めたいから。あまりサッカーに詳しくない方も「あの4番(高橋の背番号)、すごいね」と感じてくれるようなプレーを見せたい。
代表でも、必ず試合に出て結果を残すと、あえて公言します。
掴みたいものは、そうやって口にしないとつかめないと思うから。
権田: 僕は代表でなかなか試合に出られず、FC東京ではJ1で優勝したことがない。何をすれば代表戦に出られるのか、どうすればJ1で優勝できるのか、その答えは簡単にはわからない。
100%の状態で毎日練習と試合に望み続け、答えに近づいていきたい。
「毎日100%」を1年間続け、今季が終わった時にどうなっているか。
課題が出てくるとしても、それはより明確になっている気がする。
(構成・中川文如)
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