地主の方は代々土地を相続してきたため、土地に特別な思い入れがありなかなか売却に踏み切れないという方もいらっしゃいます。しかし、土地には目には見えない相続税という借金がぶら下がっており、相続財産に占める不動産の割合が高くて金融資産が少ない際には、納税資金のために思い切って土地を売るのも1つの手です。相続が発生してから売却をしようとしても、いざとなったら売却先が見つからずに納税できないことも考えられます。税率はその土地の所有期間により異なり、原則的に譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超えるときには、長期譲渡に該当し20% (所得税15% •住民税5%)の税率となり、5年未満の場合には短期讓渡に該当し39% (所得税30% •住民税9%)の税率となります。また、土地を引き継いだ相続人が讓渡した際には、相続開始から3年10ヶ月以内の譲渡の場合には、相続の際に払った相続税のうち土地に対応する部分の金額は取得費に加えられて讓渡所得が少なくなります。また、長期と短期の判定においては、相続した日から譲渡日までで所有期間ではありません。
借入金によって建物(賃貸物件)を建築すると一般的には評価引き下げとなりますが、これは相続税における土地と建物の評価は時価や建築価額でなく、 土地については路線価、建物については固定資産税評価により評価するためです。さらに建築した物件を他人に賃貸すると、地主の権利は制限されるのでさらに一定の減額があります。
被相続人の住んでいた宅地等を同居の親族等が相続し、引き続き居住して保有する際には、特定居住用宅地等に当てはまり240㎡まで80%の減額を受けることが可能です。しかし、相続人の中にはすでに結婚して親とは同居せず、別の場所に一軒家を持って暮らしている方もいますが、この場合にはその方は同居親族でもなく3年以内家なき子にも当てはまらないため、特定居住用の小規模宅地等の特例を受けることが難しくなります。そこで自宅を改修し、自宅兼賃貸併用物件を建築する方法があります。つまり、自宅で特定居住用宅地等の減額が適用できないのであれば、せめて自宅兼賃貸物件にすることによって貸付部分については貸付事業用宅地等の減額を適用しようとするものであり(事業継続・保有継続要件あり)、借入金により建築することによってさらに相続財産をより圧縮する効果があります。この方法は積極的に資産運用をする方法といえ、他に3年以内家なき子に該当しない場合などは、相続人である息子が自宅を賃貸に出して貸家暮らしをしたとして、その後3年経過した後に相続が発生した場合には3年以内家なき子に該当します(被相続人に配偶者や同居親族がいないとき)。このように、生前から小規模宅地等の特例の要件整備をすることも相続対策の1つです。
<解説>
1、 特例を受けるための一定の要件とは?
「マイホームを買換えた場合」とは、自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地や借地権を売り、新しくマイホームを購入することを言う。この場合の要件を、買換え資産と売却資産に分けて説明する。
2、 売却資産についての要件
次の要件を満たさなければならない。
(1) 日本国内に所在するマイホームであること。
(2) 売却代金が1.5億円以下であること。
(3) 売った人の居住期間が10年以上で、かつ、売った年の1月1日において売った家屋や、その敷地の所有期間が共に10年を超えるものであること。
3、 買換え資産についての要件
次の全ての要件を満たさなければなりません。
(1) 買い換えたマイホームには、一定期限までに住むこと。
買い換えたマイホームを住まいとして使用を開始する期限は、そのマイホームを取得した時期により、次のようになります。
イ 売った年の翌年に取得したときは、取得した年の翌年12月31日まで。
ロ 売った年かその前年に取得したときは、売った年の翌年12月31日まで。
(2) 買い換える建物の床面積が50平方メートル以上のものであり、買い換える土地の面積が500平方メートル以下のものであること。
(3) マイホームを売った年の前年から翌年までの3年の間にマイホームを買い換えること。
(4) 日本国内に所在するマイホームであること。
(5) 耐火建築物の中古住宅である場合には、買い換えるマイホームが、取得の日の以前25年以内に建築されたものでなければならない。
ただし、耐火建築物以外の中古住宅及び2005年4月1日以後取得する耐火建築物である中古住宅のうち一定の耐震基準を満たすものについては、建築年数の制限は存在しない。
4、 適用を受けるための手続き
譲渡所得の金額が0円となる場合でも、この特例を受けるためには、一定の書類を添付して確定申告書を提出しなければならない。
5、 マイホームの売却価格<買換え価格の場合の計算
マイホーム(売却資産)
・ 取得費:5000万円×5%
・ 譲渡費用:100万円
・ 土地、家屋併せて5000万円で売却。
マイホーム(買換え資産)
・ 買換え資産の購入価格:6000万円
内訳 土地:4000万円。
家屋:2000万円。
(1) 考え方
マイホームを売却する部分だけで考えますと、上記事例では
5000万円—(5000万円×5%+100万円)=4650万円
の譲渡益が生じることになるが、売却時の収入金額全額を使って買換え資産を取得しているので、譲渡益が将来に繰延べることが可能となる。
繰延べた譲渡益4650万円が実現する(所得税額、住民税額が発生する)ときは、買換え資産を売却したときとなる。
この譲渡益の繰延べは、「買換え資産に付すべき取得価額」の計算に反映されることになる。
(2) この特例を受けた場合の譲渡所得の金額の計算
マイホームの売却価格 5000万円<買換え価格 6000万円
∴ なし。
(3) 買換え資産に付すべき取得価額の計算
次の算式によることになる。
買換え資産の取得価額(全体)
=売却資産の取得費+譲渡費用
+(買換え資産の取得価額—売却資産の譲渡価額)
即ち、本問の場合は
(5000万円×5%+100万円)+(6000万円—5000万円)=1350万円
が全体の金額となる。
これを土地、建物に按分すると
土地:1350万円×4000万円/6000万円=900万円。
建物:1350万円×2000万円/6000万円=450万円
となります。
6、 マイホームの売却価格>買換え価格の場合の計算
マイホーム(売却資産)
・ 土地、家屋併せて5000万円で売却。
・ 取得費:5000万円×5%。
・ 譲渡費用:100万円
マイホーム(買換え資産)
・ 買換え資産の購入価格4000万円
内訳 土地:3000万円
家屋:1000万円
(1) 考え方
マイホームを売却する部分だけで考えると、上記事例では、
5000万円—(5000万円×5%+100万円)=4650億円
の譲渡益が生じることになる。
ただし、手元に残った売却価格—買換え価格の全額を収入金額とした譲渡所得については、売却価格の全額を使わずに買換え資産を購入しているため、将来に繰延べることができず、売却した年分の譲渡所得に対して所得税がかかることになる。
(2) この特例を受けた場合の譲渡所得の金額の計算
マイホームの売却価格 5000万円>買換え価格 4000万円
∴ 譲渡所得あり。
(一) 収入金額
5000万円—4000万円=1000万円
(二) 取得費
(一)×5%=50万円
(三)譲渡費用
100万円×1000万円/5000万円=20万円
(四)譲渡所得の計算
(一)—(二)—(三)=930万円
(3) 買換え資産に付すべき取得価額の計算
次の算式によります。
買換え資産の取得価額(全体)
=(売却資産の取得費+譲渡費用)
×買換え資産の取得価額/売却資産の譲渡価額
即ち、本問の場合は
(5000万円×5%+100万円)×4000万円/5000万円=280万円
が全体の金額となります。
これを土地、建物に按分すると
土地: 280万円×3000万円/4000万円=210万円
建物: 280万円×1000万円/4000万円=70万円
となります。
7、 住宅ローン控除との関係
住宅ローン控除の対象となる住宅を、その居住の用に供した年の前年・前々年あるいはその居住の用に供した年・その翌年・翌々年において、「居住用財産の買換え特例」の適用を受けている場合には、その居住の用に供した年以後の各年分の所得税については、住宅ローン控除の適用を受けることが不可能となるため、十分な検討が必要と考えられる。
1、 特例を受けるための一定の要件とは?
「マイホームを買換えた場合」とは、自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地や借地権を売り、新しくマイホームを購入することを言う。この場合の要件を、買換え資産と売却資産に分けて説明する。
2、 売却資産についての要件
次の要件を満たさなければならない。
(1) 日本国内に所在するマイホームであること。
(2) 売却代金が1.5億円以下であること。
(3) 売った人の居住期間が10年以上で、かつ、売った年の1月1日において売った家屋や、その敷地の所有期間が共に10年を超えるものであること。
3、 買換え資産についての要件
次の全ての要件を満たさなければなりません。
(1) 買い換えたマイホームには、一定期限までに住むこと。
買い換えたマイホームを住まいとして使用を開始する期限は、そのマイホームを取得した時期により、次のようになります。
イ 売った年の翌年に取得したときは、取得した年の翌年12月31日まで。
ロ 売った年かその前年に取得したときは、売った年の翌年12月31日まで。
(2) 買い換える建物の床面積が50平方メートル以上のものであり、買い換える土地の面積が500平方メートル以下のものであること。
(3) マイホームを売った年の前年から翌年までの3年の間にマイホームを買い換えること。
(4) 日本国内に所在するマイホームであること。
(5) 耐火建築物の中古住宅である場合には、買い換えるマイホームが、取得の日の以前25年以内に建築されたものでなければならない。
ただし、耐火建築物以外の中古住宅及び2005年4月1日以後取得する耐火建築物である中古住宅のうち一定の耐震基準を満たすものについては、建築年数の制限は存在しない。
4、 適用を受けるための手続き
譲渡所得の金額が0円となる場合でも、この特例を受けるためには、一定の書類を添付して確定申告書を提出しなければならない。
5、 マイホームの売却価格<買換え価格の場合の計算
マイホーム(売却資産)
・ 取得費:5000万円×5%
・ 譲渡費用:100万円
・ 土地、家屋併せて5000万円で売却。
マイホーム(買換え資産)
・ 買換え資産の購入価格:6000万円
内訳 土地:4000万円。
家屋:2000万円。
(1) 考え方
マイホームを売却する部分だけで考えますと、上記事例では
5000万円—(5000万円×5%+100万円)=4650万円
の譲渡益が生じることになるが、売却時の収入金額全額を使って買換え資産を取得しているので、譲渡益が将来に繰延べることが可能となる。
繰延べた譲渡益4650万円が実現する(所得税額、住民税額が発生する)ときは、買換え資産を売却したときとなる。
この譲渡益の繰延べは、「買換え資産に付すべき取得価額」の計算に反映されることになる。
(2) この特例を受けた場合の譲渡所得の金額の計算
マイホームの売却価格 5000万円<買換え価格 6000万円
∴ なし。
(3) 買換え資産に付すべき取得価額の計算
次の算式によることになる。
買換え資産の取得価額(全体)
=売却資産の取得費+譲渡費用
+(買換え資産の取得価額—売却資産の譲渡価額)
即ち、本問の場合は
(5000万円×5%+100万円)+(6000万円—5000万円)=1350万円
が全体の金額となる。
これを土地、建物に按分すると
土地:1350万円×4000万円/6000万円=900万円。
建物:1350万円×2000万円/6000万円=450万円
となります。
6、 マイホームの売却価格>買換え価格の場合の計算
マイホーム(売却資産)
・ 土地、家屋併せて5000万円で売却。
・ 取得費:5000万円×5%。
・ 譲渡費用:100万円
マイホーム(買換え資産)
・ 買換え資産の購入価格4000万円
内訳 土地:3000万円
家屋:1000万円
(1) 考え方
マイホームを売却する部分だけで考えると、上記事例では、
5000万円—(5000万円×5%+100万円)=4650億円
の譲渡益が生じることになる。
ただし、手元に残った売却価格—買換え価格の全額を収入金額とした譲渡所得については、売却価格の全額を使わずに買換え資産を購入しているため、将来に繰延べることができず、売却した年分の譲渡所得に対して所得税がかかることになる。
(2) この特例を受けた場合の譲渡所得の金額の計算
マイホームの売却価格 5000万円>買換え価格 4000万円
∴ 譲渡所得あり。
(一) 収入金額
5000万円—4000万円=1000万円
(二) 取得費
(一)×5%=50万円
(三)譲渡費用
100万円×1000万円/5000万円=20万円
(四)譲渡所得の計算
(一)—(二)—(三)=930万円
(3) 買換え資産に付すべき取得価額の計算
次の算式によります。
買換え資産の取得価額(全体)
=(売却資産の取得費+譲渡費用)
×買換え資産の取得価額/売却資産の譲渡価額
即ち、本問の場合は
(5000万円×5%+100万円)×4000万円/5000万円=280万円
が全体の金額となります。
これを土地、建物に按分すると
土地: 280万円×3000万円/4000万円=210万円
建物: 280万円×1000万円/4000万円=70万円
となります。
7、 住宅ローン控除との関係
住宅ローン控除の対象となる住宅を、その居住の用に供した年の前年・前々年あるいはその居住の用に供した年・その翌年・翌々年において、「居住用財産の買換え特例」の適用を受けている場合には、その居住の用に供した年以後の各年分の所得税については、住宅ローン控除の適用を受けることが不可能となるため、十分な検討が必要と考えられる。
