昨日から地続きな空模様は嫌に心地が良かった。
昔といってもきっと数年前に放送されていたドラマでこんなことを言っていた。
「曇りって私は好きですよ」
その時、共感できてしまった時点である程度この先の人生に察しがついてしまった。
嫌に心地が良い空模様でいつもより早く帰路につけたので家の近くのケーキ屋さんでケーキとプリンを買った。
この間インターン先が決まった自分へのご褒美だった。
明日は休みだし、コーヒーと一緒にドラマでも見て少し自分の生活に色を付けたかった。
そんな風に思ったのは空が味気ない色をしていたからだろうか。
母親が髪を染めてきた。
アクアブルーというらしい。
せっかくいい天気の日なのにあえて明るくするあたり家族といえど異なる感覚を覚えた直後、不快感が押し寄せた。
酸素より少し重いせいで喉元から出ていくのに時間がかかる。
波のように押し寄せてくれれば、いつか引くのに。
「お姉ちゃんがケーキ買ってきてくれたんだって、食べる?」
初任給が入ったらしく家族へのプレゼントらしい。気持ちが悪い。
姉とは2年口をきいていない。
今後も母親の葬式以外では話さないだろう。
そんな姉からのプレゼント。
「買ってきて”くれた”」
何様のつもりだ。
ケーキは3つあったらしい。
家族は"4人"だ。
姉の中には感謝を伝えたい対象に俺が入っているのに、死んだ父親は入っていない。
そういうところが嫌いだ。
”家族”は絆があって、一緒にいることが心の健康につながるとされてる気がする。
"夫婦"ならまだわかる。自分で選んでいるのだから。他人とはいえ。
"家族"は離れることができない。
DNAの螺旋構造は鎖と同じ。
同じ鎖を持ってるせいでケーキを買う日すら重なってしまう。
そのあと離れていく様まで螺旋のようだ。
「いらない」