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この頃、毎晩君の夢を見る。汚れたハンカチを握り締めて海を見つめている僕。僕には記憶が無くて何かを思い出そうとしても、何も思い出せなくて、苦しくて、悲しくて、孤独で、だけど振り向くと君がいる。君が優しく笑ってる。そんな夢だ。怖かった。あの頃の僕は君の想いを受け止めることが、君が愛してくれることが、愛されるのが怖かった。それなのに君は、僕のしてきたことのすべてを、君の両親にしたことまで許そうとしたからだ。すべてを許してこんな僕のために笑ってくれた。僕があの事故で生死をさまよって目覚めたとき、初めてみたのは君の微笑みだった。僕はそのときまで誰にもそんな笑顔を向けられたことはなかった。君と出逢ってから僕は人を愛するという本当の意味がわかった。人を信じること、人に尽くすこと、人を愛する喜びを知った。ありがとう、ほんとうにありがとう。ここにきて一年半、時間が僕の中のわだかまりをゆっくりとかしてくれた。だから僕は今やっと君と向き合えるような気がしている。ここにいるといつか君が教えてくれたことを思い出す。寂しいときには空を見上げろと。でもここからは四角い小さな空しか見えない。許されることなら君ともう一度大きな空が見たい。もしももう一度・・・
