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VITA BREVIS

“フローリアの「告白」”

著者:ヨースタイン・ゴルデル


Magic& Love

「哲学者は禁欲を、女は愛を選んだ。」

いままでのゴルデル著書の作風とは
まったく異なる…異色の小説でした。

ほんとうの意味でミステリー…
じつに、面白かったです!


内容は、アウレリウス・アウグスティヌスの元内縁の妻フローリアが
アウレリウスへ送った7通の手紙を
ゴルデル氏が南米の古本屋で、その手紙を手にするところから始まります。
読者は、その7通の手紙を読むことになります。



この手紙は本当の手紙か…ゴルデル氏による架空のものなのか…
はっきりしたことが何もわからないのです。

わたしはこのフローリアの手紙は実際に
フローリアがアウグスティヌスへ書き存在していると信じています。
そして、その手紙をアウグスティヌスは読んだと思いたいです。


その後の2人がどうなったのかは、わからないけど。


邦題も、アウグスティヌスの「告白」をもじられたもので
本書の随所にその内容や、古代の哲学書や喜劇などが引用されていて
教養とユーモアに溢れた作品でした。



血と肉の欲求を絶ち、過去の罪を懺悔する日々。
思考の迷宮に彷徨い、生きた屍のように
一生を(プラトンのイデア論的)洞窟の中で過ごすことに救いを求めた
アウグスティヌス…

彼の生涯はどんなふうだったのかな
禁欲することで、禁欲にとらわれていたのではないのかな

死を恐れるあまり、死にとらわれていたのではないのかな


人と動物があふれ、花と子供たちのあふれ、
葡萄酒と蜜のあふれるゆたかな世界を愛した
フローリア…

神に愛する男性と子供を奪われて傷ついてもなお
無花果の木の下で恋に落ちた瞬間を信じ続けた

知的で愛情豊かな女性。


彼女のような運命は辿りたくはないけど…
わたしは、彼女を憧れ尊敬します。



知識を、知恵に!
哀愁を、愛に!!


  最後の一日は、光あふれる日だと信じていたい☆キラキラ