僕のアパートは2階建て

「きゃッ」

原付で帰ってくると
上から声がしたんだ

すると見上げる間もなく
君が降ってきた


まさか下に人がいるなんて
君は驚いていたね

僕も驚いていたよ


「ごめんなさいあせる


「いや僕、こういうの慣れてるんで大丈夫ですよ」って言うと変態チックなのでやめた

「いや僕、別に嫌いやないんで大丈夫ですよ」


「本当にすみませんでしたあせる

「お詫びにご飯でもあせる」っていう展開は期待しすぎだった


今日は貴重な体験ができたのだから
まぁ高望みはやめておこう

それにお2階さんとも話せたんだし



けどとりあえずヤモリを2階から投げ捨てるのはやめたほうがいいと思います


今日は顔のマッサージを
してもらいに行ったわけです

店員さんはオイルを塗って
僕の顔をもてあそぶわけです


いや、あれはもはや職権乱用、
いじめでしたね

僕はちょっと強めに押されて
痛気持ちいいぐらいが好きです

…あぁーあ、ついに
カミングアウトしてしまいました


痛気持ちいいぐらいが
好きなのです


ただ今日に限って下唇うらに
口内炎があったのですよ

店員さん、あなたはそのことに
気付いていたのでしょうか?

ぐりぐり、痛かったです


もう目を開けてやろうかと
思うぐらい痛かったです


ただ僕にはそんな勇気は
ありませんでした

店員さん、あなたはそのことに
気付いていたのでしょうか?

…気付いていたんですね


僕のM心をつくなんて
さすがプロです、見直しました


今日はそんな自分の本質と
プロの腕前に感心して
ちょっぴり将来を考えた一日でした

こんこん

音がする


僕はうつろな意識のなかで
携帯のアラームではないことを
理解した

僕の携帯アラームは
こんなに長くこんこんと鳴らない

こんこんこんのリズムで
7秒ほどのアラームである


入り口からでもない
ドアにはインターフォンがある

ドアならインターフォンを
押すはずだ

インターフォンを目の前にして
押さない人などいない


…ではこんこんはどこからか


窓からだ そう、窓からだ


窓にはインターフォンがない
風鈴はあるが今は機能していない


確かにカーテン越しに
こんこんと聞こえる


恐る恐るカーテンを開けようか
悩んでいるとカーテンが開いた

奇想天外摩訶不思議


窓からの距離、推定2.3畳

いつ入ってきたのだろうか


大根人間がいた

僕はこいつを知っている


サガミでバイトしていたときの
僕の相棒の、ライバルだ

なかなか関係は薄い



強くなりたい

大根が言う


美味しくやないの?

僕は率直な疑問から聞く


強く、強くなりたい

大根は言う


なら

と僕はピーラーで
皮を剥いてやった

僕の相棒


あぁー あぁー あぁーい

聞き慣れた音が響く

久しく聞く音が響く


それで埋めてやった

半分だけ埋めてやった



家族ってなんだろ。