私はこのリサイクルショップに並べられてかれこれ3度目の冬を過ごしている、
最後に人を乗せたのももうずいぶんと昔のことの様に感じる、
ただただ時間が過ぎていくのを感じていた、
今日もいつものように店のシャッターが開く音が聞こえ、店長の杉末さんが缶コーヒーを飲みながら店内の明かりを付けた
ここで杉末さんについて少しだけふれておこう、
彼は40才くらいの気さくな男性だ、店に客が来ることはあまりないが客が入ってきては楽しそうに世間話をしている。
客がいない時は埃のかぶった商品を丹念に磨いている、
前に私がいた家の人間よりずっと私に優しくしてくれる。
そして野球とコーヒーが何よりも好きだ
今日もいつもと変わらず杉末さんが古本コーナーを慣れた手つきで整理していると
チャリーンチャリーン
と音が聞こえ冷たい風が吹き付けた
『いらっしゃい』
男はおもむろに店を見まわすと首もとのマフラーを緩めながら落ち着いた足取りで店を見て回った、
はじめは入り口の正面にある絵画をすべてを見透かしたような目でじっと見つめていたが、ふと私の方を見ると、私に近づいてしげしげと私を見つめた、
長い間私はこの店に居座っているが(本当は座られる立場なのだが)こんなに私に興味を持った客も初めてだ、
杉末さんが『お客さんその椅子はうちで一番の古株だよ、丈夫で座りやすいのに、なかなか売れなくてね、今月中に売れないなら自分で使おうと思っていてね』といつも通りレジ越しになんでもない話しをはじめる
男は『そうですかなかなかいい椅子なのにもったいないですね、確かにこの椅子は比重が0.9~1.0の材質で造られているからかなり強度があるのに・・・』と私を触りながら言った、
『へぇ~あんたなかなか詳しいね、もしかして仕事は木材かなんかを?』
『いえそうゆう訳ではないんですがね、昔少し本で読んだもので覚えていたんですよ、この椅子とても気に入りました、私に譲ってもらえませんか?』
『本当かい?あんたなら大切にしてくれそうだし、こいつも喜んでくれるよ、ありがとう』
杉末さんは私をレジに持っていくと一瞬悲しいそうな、嬉しそうな顔で私を撫でると
『大切にしてやってくれ』と言い、男に渡した
男は『この椅子は私よりも長持ちしそうだ、その言葉は椅子に言ってくれ』と言うと
私を抱え店のドアを開いた、久しぶりの店の外、この時はまだこれから始まる新しい生活を考えるより、とても不思議な気持ちでいっぱいだった、
こうしてわたしと多賀谷さんの生活がはじまった
最後に人を乗せたのももうずいぶんと昔のことの様に感じる、
ただただ時間が過ぎていくのを感じていた、
今日もいつものように店のシャッターが開く音が聞こえ、店長の杉末さんが缶コーヒーを飲みながら店内の明かりを付けた
ここで杉末さんについて少しだけふれておこう、
彼は40才くらいの気さくな男性だ、店に客が来ることはあまりないが客が入ってきては楽しそうに世間話をしている。
客がいない時は埃のかぶった商品を丹念に磨いている、
前に私がいた家の人間よりずっと私に優しくしてくれる。
そして野球とコーヒーが何よりも好きだ
今日もいつもと変わらず杉末さんが古本コーナーを慣れた手つきで整理していると
チャリーンチャリーン
と音が聞こえ冷たい風が吹き付けた
『いらっしゃい』
男はおもむろに店を見まわすと首もとのマフラーを緩めながら落ち着いた足取りで店を見て回った、
はじめは入り口の正面にある絵画をすべてを見透かしたような目でじっと見つめていたが、ふと私の方を見ると、私に近づいてしげしげと私を見つめた、
長い間私はこの店に居座っているが(本当は座られる立場なのだが)こんなに私に興味を持った客も初めてだ、
杉末さんが『お客さんその椅子はうちで一番の古株だよ、丈夫で座りやすいのに、なかなか売れなくてね、今月中に売れないなら自分で使おうと思っていてね』といつも通りレジ越しになんでもない話しをはじめる
男は『そうですかなかなかいい椅子なのにもったいないですね、確かにこの椅子は比重が0.9~1.0の材質で造られているからかなり強度があるのに・・・』と私を触りながら言った、
『へぇ~あんたなかなか詳しいね、もしかして仕事は木材かなんかを?』
『いえそうゆう訳ではないんですがね、昔少し本で読んだもので覚えていたんですよ、この椅子とても気に入りました、私に譲ってもらえませんか?』
『本当かい?あんたなら大切にしてくれそうだし、こいつも喜んでくれるよ、ありがとう』
杉末さんは私をレジに持っていくと一瞬悲しいそうな、嬉しそうな顔で私を撫でると
『大切にしてやってくれ』と言い、男に渡した
男は『この椅子は私よりも長持ちしそうだ、その言葉は椅子に言ってくれ』と言うと
私を抱え店のドアを開いた、久しぶりの店の外、この時はまだこれから始まる新しい生活を考えるより、とても不思議な気持ちでいっぱいだった、
こうしてわたしと多賀谷さんの生活がはじまった





