『トゥルルルル~ン』
オフィスの電話が鳴り響く・・・。
クライアントからの仕事の電話である。
ある荷物を午後4時にピックアップして、
急いで奈良県まで届けて欲しいとの事。
時計に目をやり時間を確認すると
午後1時
現在地から目的地の北加賀屋までは
昼間の渋滞を考えても
1時間半ほどみれば十分!
余裕である・・・。
《プロの運び屋》である以上、
マシンの入念なチェックを怠らず、
ブラックスーツに身を包み
ピックアップポイント迄
最短距離で移動する。
R26を北上し、
北公園前の交差点を左折
更にそのまま、新なにわ筋を北上する。
実に順調である・・・。
目的地までおよそ3㎞、
まだピックアップの時間まで
およそ1時間ほど残している。
『少し早過ぎたか・・・。』
基本、車を離れての休憩は取らない。
必要以上に車が人目に付く事をせず
素性を周りに悟られないように行動する。
それがプロの運び屋であり
トランスポーターである自分に科した
一つのルールである。
少し窓を開け、
車内の空気を入れ替えていた頃
丁度、大きな橋にさしかかった。
大和川である
ふとナビに目をやると
目的地まで残り2km・・・。
本来なら余裕の仕事のハズが
何故か先程から鼓動が早くなっている。
『ナゼだ?』
目的地は目と鼻の先、
なんら問題は無いはず。
『まさか!』
イヤイヤそんな筈は無い、
これから大切な仕事が控えているのに
バカな事を言わないでくれよハニー!
《チッこん、チッこん》←右ウィンカー!
何故だ?目的地は直進の筈なのに
どうして右折なんかするんだ!
Uターン・・・。
Uターン? 引き返すのか?
クライアントが待っているんだぞ!
いったい何を考えているんだ!
左側道へス~っと・・・。
ひょっとしてお前・・・。
さすがに上の駐車場はマズイと思ったので
下の駐車場にしときました

魔界には到底不釣り合いな格好して
30分程の徘徊。
適当にルアーを2つ3つ見繕って
仕事に戻ろうと思ってたんですが・・・。
ハードロッドケース
中古 B品 ¥1,000-
思わず目が点に!
中古B品といえども程度は良く、
使用には全く問題無し!
隣には新品が5,000円程で売られている。
ホシイじゃね~か!
しかしこれから仕事が控えているのに
このロッドケースはまずい
この《マシン》
ボディーを少し延長しているものの
訳あって2シーターである

後ろの荷室にはこれからピックアップする
荷物を載せるためのゴージャスな装飾が
施されていて、ロッドケースなど
目立って仕方がない

仕方がない、諦めるか・・・。
???
言葉とはウラハラに何故かレジへと!
そしてニヤニヤしながら伊勢吉を後にして
螺旋階段を降り、下の駐車場へ・・・。
一見バカかと思われるかもしれませんが
自分の見解はこうである

① 釣りをしない人なら
パッと見、ロッドケースだと気づかない

② 堂々としていれば
意外と違和感を感じない

③ クライアントに荷室を一切見せる事なく
速やかに仕事を遂行する

我ながら完璧なアイデア
急いで仕事に戻ります!
予定通り
ピックアップポイントで
真っ白なシーツに包まれた荷物を受け取り
クライアントを助手席に乗せ
来た道を引き返します

荷室にはストレッチャーの傍らに
160cmのロッドケース

恐らく違和感を覚えたのは自分だけだろう。
ここまでは完璧である

PM 5:15 目的地に到着。
『この先の駐車場に車を止めて下さい』
とゆうクライアントの指示に従い
車をバックさせていると・・・。
『おじいちゃ~ん
』
『お爺ちゃんお帰り~
』
などと言いながら5人ぐらいの家族が
涙のお出迎え

《これはマズい
》
この状況で後ろのハッチを開けるのは
非常にまずい・・・。
お爺さんの傍らにはロッドケースが・・・。
せめて伊勢吉のお買い上げシールぐらい
剥がしておけば良かった

しかしここからがプロの腕の見せ所である
『それでは皆さん、一旦お部屋に
お戻り下さい』
『おじいちゃんがゆっくり休めるように
皆さんでお布団を敷いてあげましょう』
家族の方が布団を敷きに部屋の中へ戻った
一瞬の隙をついて・・・。
任務完了!
このたびの戦利品
中古なので、前の持ち主さんが貼った
シールがそのままですがナニか?
B品なのでWファスナーの内
一つのファスナーがありませんがナニか?
『全くもって問題無し』
なんてったって
1,000円 ですから!
地磯、沖磯問わずビシバシ使ったります!
では





