人生に生かすための相続税

人生に生かすための相続税

人生に生かすための相続税

Amebaでブログを始めよう!
Q,私は、不動産販売業を営む会社を15年間経営しており、5年前からは、不動産賃貸業もスタートしました。数年前からは不動産販売の業績が極端に低迷しているため、最近の売上は、不動産賃貸によって支えられている状況です。
 今回、自社株式を類似業種批准価額で評価することになり、設立時から継続している不動産販売業としての株価評価を行いました。

<失敗のポイント>
 複数の業種を兼業している企業の株式を類似業種批准価額で評価する場合には、そのうちの主たる業種として評価を行います。
 上記の場合には、現在の主たる業種は不動産販売業ではなく、不動産賃貸業であるため、不動産賃貸業としての株価評価をする必要があります。

<正しい対応>
 複数の業種を兼業している企業の株式を類似業種批准価額で評価する場合には、各業種の売上高割合(直前期末以前1年間)を把握して、主な業種を判定します。

<税法等の解説>
 類似業種批准価額は、類似業種の株価等に批准させて計算するものなので、評価対象の会社の業種がどの業種に該当するかを判定する必要があります。具体的には、国税庁長官が通達で定めているので、これにより該当する業種を判定することになります。

(1) 複数の業種を兼業している場合。
 主な業種としての評価を行います。主な業種とは、単独の業種に係る取引金額の層取引金額に対する割合が50%を超えるものになります。

[評価会社の業種と売上高割合]
不動産賃貸業:75%
不動産取引行:15%
その他不動産業:10%
合計:100%

※ 50%超より「主な業種」

 上記の場合には、不動産賃貸業の売上高割合が75%であり、50%を超えていることから、不動産賃貸業が主な業種となります。

(2) 類似業種の株価の判定
 類似業種の業種が判定できたら、類似業種の株価の判定を行います。これは国税庁が公表している「類似業種批准価額計算上の業種目及び業種目別株価等」により判定します。このとき、該当する業種目が「小分類」、「中分類」、「大分類」のいずれかに区分されています。そこで仮に業種目が小分類に区分されていれば、小分類の業種目を評価会社の類似業種としますが、納税者の有利選択によって、どの業種目が属する中分類の業種目を類似業種とすることができます。
 また、同様に、業種目が小分類に区分されていない場合には、中分類の業種目を評価会社の類似業種としますが、納税者の有利選択によって、その業種目が属する大分類の業種目を類似業種とすることができます。
 例えば、主な業種目が「不動産賃貸業」に該当する場合、類似業種批准価額の業種目は、下図中の中分類の「102 不動産賃貸業 管理業」としますが、その不動産賃貸業、管理業の属する大分類に位置する「100 不動産業、物品賃貸業」を選択することもできます。したがって、これらのうち、それぞれの類似業種の株価、比準要素(配当金額・利益金額・簿価純資産価額)を基にして計算した金額が低くなる方の業種目を有利に選択することができます。

[会社規模]
 中会社(斟酌率0.6)
[評価会社の配当・利益・純資産]
 配当2.0円、利益40円、簿価純資産価額300円
[類似業種の株価]
102 不動産賃貸業、管理業 400円(中分類)
100 不動産業、物品賃貸業の株価 200円(大分類)
[類似業種の配当・利益・純資産]
102 不動産賃貸業、管理業(中分類)
    配当6.4円、利益32円、簿価純資産価額265円
100 不動産業、物品賃貸業(大分類)
    配当4.3円、利益23円、簿価純資産202円

[株価の有利選択]
(一) 不動産賃貸業、管理業(中分類)のケース
400×(2÷6.4+40÷32×3+300÷265)÷5×0.6=249

(二) 不動産業、物品賃貸業(大分類)のケース
200×(2÷4.3+40÷23×3+300÷202)×0.6=172

(一)>(二) ∴172(不動産業、物品賃貸業(大分類)の方が有利)

(3) 主な業種(取引金額割合が50%を超える業種)がない場合
 主な業種目(50%を超える業種目)がない場合には、別途業種の判定方法がありますが、中小企業においては、主な業種がないケースは相対的に少ないため、記載を省略させていただきます。
相続税の納税は原則的に、被相続人の死亡した日の翌日から10ヶ月以内に金銭で一括して納めなければなりませんが、特別な納税方法として延納と物納の制度があります。延納は金銭で一度に納付することが難しいときに何年かに分けて分割し納める方法で、物納は延納によっても納付できない場合に、相続で得た財産そのもので納める方法です。物納の要件は次のようになっています。
・延納によっても相続税を金銭で納めることが困難な状況にあることが必要であり、この金銭で納めることが難しい状況にあるかの判定は、貸付金の返済や退職金の支給といった納税者の近い将来に見込まれる金銭の収入も考慮して判断する必要があります。
・土地を物納する場合、測量や隣地との境界確認等の条件整備が必要です。
・相続税の納付期限までに、金銭で納付することが困難な理由や物納しようとする財産などの所定事項を記した物納申請書等の一定書類を税務署長に提出することが必要です。
物納の許可には、下記の要件を満たす財産である必要があります。
・相続により取得した財産で日本国内にあること
・管理処分不適恪財産ではないこと
・物納申請財産の種類および順位に従っていること
・物納劣後財産にあてはまる際には、ほかに適当な価額の財産がないこと
・物納に充てる財産の価額は、原則的に物納申請税額を超えないこと
物納する財産は次の順位で、上位の財産を優先して選択します。
第1順位 ①国債、地方債、不動産、船舶
②①のうち劣後財産
第2順位 ③社債、株式、証券投資信託
または貸付信託の受益証券
④のうち劣後財産
第3順位 ⑤動産
管理処分不適格財産とは物納に充てることができない財産のことであり、抵当権の目的となっている不動産や境界が明らかでない土地、共有不動産、譲渡制限侏式などがあります。また、物納劣後財産とはほかに物納に充てるべき適当な価額の財産がないときに限り物納に充てることができる財産のことであり、地上権が設定されている土地や接道条件を満たしていない土地などがあります。物納財産を国が収納するときの価額は、原則的に相続時の価額によります。相続時精算課税制度を適用して贈与により得た財産は、相続税の物納をすることはできません(相法41②)。これは贈与後、相続が発生するまでに多くの年数が経っている場合も考えられ、贈与財産の管理・保全状況が明確でないことが理由と考えられます。贈与税暦年課税制度による贈与財産は、相続で財産を得た人が被相続人から受けた相続開始前3年以内の贈与財産に限り相続税の課税価格に加えられ、この加算された財産は相続税の物納の対象財産となります(相基通41-5)。
相続時精算課税制度を選択した場合に、取得した財産を相続時において贈与時の価額により相続財産に合算するという点に着目すると、相続時精算課税制度で贈与した財産が相続時までに評価が増加した際には有利であり、減少した際には不利です。また、収益が発生する財産を親が子に贈与することも、将来の親の財産の肥大化を防いで相続税の負担を軽減できます。以上のことから、あくまでも有利になるかどうかは相続財産全体を把握している上でのシミュレ一ションが必要です。
生前に親が賃貸しているマンションやアパート等の収益物件を贈与すれば、そのアパートやマンション等が生みだす家賃等の収益は受贈者である子に帰属し、本来なら家賃収入は親の元へと入り将来の相続財産のもとになっていたものが、生前に子へ移転するため親の財産が家賃収入分肥大化することを防ぎ、相続時に相続税の負担を軽減できます。ただし、贈与財産が土地や建物である際には、貸家建付地の評価や小規模宅地の特例などの適用関係から生前贈与をしない方が有利なこともあるので、そのための税負担を比べましょう。
上記のように相続時精算課税制度を選択した場合には、相続時において贈与時の価額により相続財産に取り込まれるので、将来、つまり相続時に値上がりする可能性の高い財産を生前の低い価額のうちに生前贈与をしておくことで、実際の相続時の価額よりも低い価額で相続財産に取り込まれるため効果的です。具体的に将来値上がりする可能性が高い財産とは、急速に業績が伸びているような法人の株式(上場株式、未上場株式を含む)や地価の値上がりしそうな土地等です。土地については、最近では地価が値下がりすることはあっても値上がりすることは滅多にないですが、将来道路や鉄道ができるというような開発地域だと土地の地価が上昇することもあるので、そのような土地については生前贈与が有効でしょう。
効果的な使途を考えると様々なものがありますが、子が真剣に事業を開始するために元手資金が必要である場合に、成功に導くため何らかの援助をしてあげたいような場合、または将来海外で働く夢を持つ子の海外留学資金を援助し、子が夢を叶えるための援助をしてあげたいような場合、さらに子に金利が高い借入金があり高額な金利を支払っていくよりは贈与を受けて借入金を返済した方が有利になる場合など、その贈与の使いみちで効果が得られるものについては、相続税の負担が減少するかどうかにかかわらず生前贈与をするべきでしょう。