綺麗な川に、綺麗な女の人。その人は涙を流しながら何かを呟いた。
「____」
なんて言ったかは聞こえていない。いや、聞こえていたけど忘れたのか。
何分、今朝見た夢だから忘れっぽい僕が忘れないわけがない。
少しだけ気にはなるけれど興味はないのでこの話は終わりとしよう。
_別に、七夕は僕にとって何の特別もない。
だけど周りは七夕セールとかで星とか黄色いゼリーとかを無差別に売り飛ばす。
ゼリーなら、いつだって食べれるし、星なんか毎日見ることができる。僕にとって七夕はそんな存在だったのだ。もちろん、今日が七夕だって事も七夕セールのチラシで今思い出した。
__ロマンチック?あぁ、知って居るぞ。リア充爆発しろ、だろ?
あいにく僕はそこにも興味はない。爆発しろなんて言う奴は正直嫌いだ。
てめぇが爆発しろとでも言いたくなる。
勘違いをしている人が多いようだが、(周りにもいる)僕にはちゃんと彼女はいる。
もう一度言おう、彼女はいる。
しかし彼女は僕と違って七夕とか言うロマンチックな物が好きだ。
今日も早く会いたいなどとメールで打ってくる物だから、
少し照れながら「すぐ会える」と打っておいた。
同居はしていないし、大学も違うので中々会えるような暇がない。だからこのようなイベントには少しだけ感謝をしている。
__ぴろりん
スマホがなった。今日の夜に会う約束をした彼女からの新着メールだ。
『今日、ちょっと遅れる!先に行って待ってて。』
彼女も色々忙しいんだなぁとしみじみ感じながら解ったとだけ打った。
少ない時間だが会える時間が先延ばしになるのは悲しい。
仕方ないから近くのイルミネーションやお店などを見て回ると、
かすかに揺れる白いウェーブ、ウエディングドレスがひらりと目の前の店に立っていた。
綺麗だな、とか見ほれていると定員さんがよってくる。
ニコニコと僕の顔を見て笑う定員さんは言った。
「大切な人に会いに行くのですか?」
七夕、というイベントでこうも人の心情は変わるらしい。
僕は考えるまもなく定員さんに笑いかけて言った。
「そうなんです。」
___約束していた公園にやっぱり彼女は先に来ていた。
ベンチに座って腕時計と周りをきょろきょろ身ながら。
焦った様子で僕を見つけ駆け寄ってくる。
僕は向かってくる無邪気な彼女を抱きしめた。
「びっくりしたよー、もう遅くなって帰っちゃったのかと思った。」
耳元でかすかに涙声の君が僕を強く抱きしめた。
「ごめん、ごめん。ちょっとお店回ったら欲しい物が見つかって。」
僕は片方の手で握りしめていた小さな箱をもう一度握りしめた。
『早く会いたい』
どうやら僕は織姫と彦星の願いが移ってしまったらしい。
だから計画も立てずに突拍子もない事を仕立て上げてしまうんだ。
「今日は七夕だからさ.....」
特別な日にしたかったんだよ、きっと。
