Ⅰ
私は、DV・虐待を犯してきました。そのことを自覚してから、DV加害更生プログラムでの学びをずっと続けています。もう十年近くが経過しています。
私が更生の道を歩み続けられるのは、《妻さん》や《娘さん》を始め、多くの方の支えがあってのことです。そしてその支えは、直接的に私と関わってくれる方だけがもたらしてくれるものではありません。
Ⅱ
私の更生を支えてくれたものの一つに、ある歌があります。Metisさんという歌手が歌う、「人間失格」(2011年)という歌です。
歌詞の一部を引用します。
「人を従わせ支配しそんなに自分を大きく見せたいのですか?
君の庭に咲く花は寛大ですか?心のままにいつも咲いていますか?
涙を忘れていませんか?大事なことから逃げてませんか?
自分に嘘をついていませんか?諦めることに慣れ過ぎてませんか?
泣きたければ泣けばいい 叫びたければ叫べばいい
それでいいんだよ…君で良いんだよ…全ていいんだよ…きっといいんだよ…
明日は明日の風が吹く」
私は、これまでの人生の中で、歌を聴いて涙するという経験は、ほとんどありませんでした。
しかし、この曲を聴いて、DV加害更生プログラムに通っている私は、心を激しく揺さぶられました。気づくと、大粒の涙をこぼしていました。今も歌を聴くたびに胸が熱くなり、涙が出てきます。
Ⅲ
私は、DV・虐待をしていたとき、まさに、人を従わせ支配して、自分を大きく見せようとしていました。《妻さん》や《娘さん》、職場の同僚や友人を支配することで、自分が凄い人であるかのように見せたかったのです。
その時の私の心の庭には、「寛大」さは何もありませんでした。自分と違うものは全て否定し、そして、自分自身をも否定していました。
強くあろうとして、涙を流すことを自分に許していませんでした。他者を支配することにきゅうきゅうとして、本当に大事なことから逃げていました。
自分に嘘ばかりついていました。自分の人生を諦めていました。
そんな自分を、言い当てられているように感じたのです。
Ⅳ
「泣きたければ泣けばいい、叫びたければ叫べばいい
それでいいんだよ…君で良いんだよ…全ていいんだよ…きっといいんだよ…
明日は明日の風が吹く」
私は、泣いていい。叫んでいい。強さという鎧をまとわなくていい。自分を大きく見せなくてもいい。そのままの自分でいい。そう言ってもらえた気がしました。
そしてまた、自分がDV・虐待を手放し、更生していくことを後押ししてもらった気がしました。
この歌を聴いて、涙を流すと、穏やかな温かい気持ちになります。そして、未来に向けて頑張ろうという気持ちになります。
間違いなく、私の更生を支えてくれている歌です。
もちろん、Metisさんと私との間に、直接的な関わりはありません。しかし、この歌がこの世界にあることで、私の更生が、間接的にMetisさんに支えられているのも事実です(ありがとうございます)。
多くの方の支えがあって、更生の道を歩むことができます。皆さんに支えられて生きている、という想いを新たにします。
今年もありがとうございました。よいお年をお迎えください。